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症状別アドバイス集

普通神経症の部屋・2000年

病院を見つけること・変えること '00.12

Aさんは、今までの病院が遠方過ぎるということで病院を変えることにしました。Bさんは、精神科に平成11年9月から通い出しましたが、薬だけの治療だけなので、不安を覚えているようです。たしかに自分に合った病院を見つけること は、簡単なようで、そうでもないようです。結局自分が信頼できる医師、あるいは心理療法士に出会えるかどうかが鍵となります。そのためにはいろいろな情報を集める必要があるでしょう。また現在かかっている治療者に薬物療法だけで自分の状態が回 復するのか、いつ頃をめどとしたらよいのか、など率直に聞くべきでしょう。そこで納得の答えがえられない場合は、病院を変えることを考えてもよいと思います。

神経症は、薬物療法だけでは治りません。そのことについては、いずれ機会を見て詳しく述べたいと思いますが、不安に対するこころの態度をしっかりと作っていくことが治療を終結させるためには必要です。またCさんのお酒について一言。Dさんもいっているように楽しい酒は、神経症の治療の妨げになりません。しかし不安を紛らわすためのお酒は、今までの不安から逃げないで頑張ってきた努力を無にしてしまいます。お酒の銘柄、味、などにこだわって、料理と一緒にお酒を楽しみましょう。

完全主義者の行き詰まりをどう抜けるのか '00.11

久しぶりにこのグル−プの話し合いが活気に満ちてきました。ある人が、「自分の決めた時間通りに行動できないと、いらいらして不安になります」と悩みを述べています。それに対して別の人は、ご自分の体験から出たとても良いアドバイスを送っています。「自分をちょっと拘束してしまう部分を少し緩やかにして」という手抜きのすすめです。わたくしの印象では、その人は完全主義者のようです。何でも完全にしなくては気が済みません。別の人が指摘しているように、自分を「こうしなくてはならない」と縛っているところがありそうです。わたくしは完全主義者にいつも、「ほどほどに60%主義で」、「優先順をつけること」、「自分をこうしなくてはならないと縛らずに、自然にしたいと思う気持ちを育てていくこと」、「その気持ちに素直に乗っていくこと」などと助言します。

第18回日本森田療法学会 '00.10

10月25日から27日まで北海道大学で第18回日本森田療法学会が開かれ、私も出席してきました。この学会で心身症(喘息やアトピ−性皮膚炎、慢性疼痛)に対する森田療法の有効性が発表されました。現代は健康ブ−ムです。さまざまな雑誌に健康食品、健康法などの記事が取り上げられています。それだけわたしたち現代人は健康に対して不安を持っているとも考えられます。わたしたちの不安の基本は森田先生も指摘したように死の恐怖であり、病、身体、健康に対する不安であります。このような時代に森田療法の果たす役割も大きいものがあるのだな、という印象を再確認しました。慢性的な身体疾患、心身症で悩む方も森田療法の知恵を生かすことでその人らしい生き方が出来ると思います。

「生きること」と森田療法 '00.9

このグル−プで心因性疼痛で悩んでいる方がいます。心因性疼痛は、長期化する痛みで、なかなかこれといった治療はありません。しかし幸い症状が回復しつつあるようです。同時に多くの人生上の問題もお持ちなようです。このような時に森田療法から人は「生きること」について多くのことを学べると思います。人前で書くときの手の震えで苦しむ症状は書痙といい、多くの人が密かに悩んでいる症状のひとつです。書くことの不安から逃げれば逃げるほど、その不安は強くなり、さらにそこから回避してしまいます。これが不安の逆説です。人前で書く機会があったら、思い切って踏み出してみたらよいかもしれません。以前にも書痙について書きましたので、それを参照ください。

「固着」 '00.8

森田でいう「固着」の意味は、森田理論の核でもあり、また自分で容易に気づけるメカニズムですので、知っておくことは重要です。自分で自分の不安、恐怖、症状を拡大し、強化してしまう症状形成のメカニズムです。私たちは悩みに陥ってしまうと、それを取り除きたいと思えば思うほど、その悩みを深め、強めてしまいます。注意が悩みに向き、悩みは益々強く、鮮明に感じ、自分の意識の大部分を占めるようになります。このメカニズムに気づくことは、その悪循環から抜け出す一歩です。

「わく」にはまる '00.7

健康への不安を持つと共に、自分の生き方がなにか「わく」にはまっていると悩んでしまう方がおられます。家族と共に安定して生活を送っているが、しかし何か自分で自分の「こうあるべき」という「わく」を作ってしまい、それで窮屈になっているのかもしれません。それを少しゆるめてみたら、固有で自然な生き方が出来るかもしれません。

限界を乗り越える '00.6

長年胃腸神経症で悩んでいた人が、最近は、以前とくらべて随分良くなってきました。しかし、ここにきて森田の限界を感じています、と述べています。あらゆる精神療法の治療はその途中で行き詰まります。森田療法もしかりです。そして私たちが生きていくこともやはり時に行き詰まります。しかしこのような時こそ森田の理解を深め、自分としての本来の生き方をつかみ取るチャンスです。自分の行き詰まり、限界をしっかりと認めること、そしてどこか不自由なあるいは無理のある生き方をしていないかどうかを知ることが重要だと思います。余りに完全を求めていないか、自己中心的になっていないか、などです。それと共に、森田療法の初心に返ること、ここでのフォ−ラムのやり取りやテ−マを絞った解説などは役に立つでしょう。参照ください。そこにも行き詰まり、限界を乗り越えるヒントがあります。

失敗と挫折 '00.5

会社が倒産して次の仕事のやる気がなくて困っている人が増えています。完全にうまくいかないならば、何もしたくない、もう失敗をしたくないと思っている人もいます。これは当然の心の反応ですが、発想を変えてみたらどうでしょうか。この挫折こそ、自分を成長させるチャンスです。まず自分の出来ることをぼちぼちと取り組んでみたらいかがでしょうか。それを続けていったらどうでしょうか。きっとあの時つらかったが、自分なりに肩の力を抜いて頑張ったから今の人生があると考えられるようになるのではないでしょうか。私たちの人生は、失敗、挫折を乗り越えてこそ成功を得ることが出来るのだと私は考えています。

騒音 '00.4

現代社会の生活は、騒音に満ちています。また人の生活が夜型に変わり、隣接した住居や集合住宅で、隣や上の人のたてる物音に悩む人も少なくありません。しかし森田療法でいう「とらわれ」に陥っている場合もあります。とあるきっかけで不快なこと、隣人のたてる物音に注意が引きつけられてしまい、その結果ますますその物音が鋭く、強く聞こえます。そしてそのことが ますます自分の注意をその物音に引きつけます。あり地獄に似た悪循環です。こうなると夜になればまたその音が聞こえるのではないかと恐れ、それしか考えられないような状態となります。ある種の視野狭窄です。それがまた悪循環を呼ぶのです。 この解決は、自分の陥っている状態をよく知り、日常の生活を大切にして、当分は物音が気になるものと覚悟を決めて、そのまま床につくことです。そしてとりあえず身体を休めるつもりで、好きな音楽を聴いたり、本を読むことを勧めます。気にするまいと思えば思うほど、気になるのが人情です。

身体感覚 '00.3

私たちが何か心理的な危機状況にあるときにしばしばある身体感覚に注意が向き、それを取り除こうとすればするほどそちらに注意が向いてしまいます。そうなると身体感覚はさらに鋭く感じられます。こうなるとそれしか考えられない視野狭窄現象に陥ります。これが精神交互作用で、私たちにとって不快な身体感覚(痛みなど)、感情、観念などを感じたときに陥る悪循環過程です。

引きこもり '00.2

アトピー性皮膚炎で人にも会えず、外出も出来ないで悩み「引きこもり」状態の人はたくさんいるのではないでしょうか。このような「引きこもっている」状況で自分の出来ることは何でしょう。出来ないことよりも出来ることに目を向けてください。自分のこころを豊かに出来ることは何でしょうか。出来ることから手を出してみてください。第2に焦らないこと。焦って何かをやろうとするが、何も出来ない自分に絶望してしまいます。つまり行動が極端になるのです。自分の思うように出来ないと全てがダメだと放り出してしまい、それがまた自己嫌悪を強めます。この悪循環に要注意。第3に自分の生活の組み立てを考え直すこと。具体的に自分の出来ることをぼちぼち取り組んでいくことです。60点主義で、肩の力を抜くと違った発想が生まれると思います。

家庭内での家族の対応 '00.1

ご家族に、神経質・うつ状態の人がいるような場合、どのような対応がよいかご紹介します。原則として、

  1. 専門家に相談する。
  2. 家族の森田療法的な説得は時には逆効果です。
  3. 話を聞くことだけにとどめ、専門家に治療をまかせる。
  4. そしてまめに専門家に家族の対応を相談する。
  5. 家族全員が同じような対応をする。ある人が「こうすれば」といい、他の人が異なったことを助言すると、事態は紛糾します。
  6. そして最後に本人が焦っているのですから、周囲はそれにあまり巻き込まれず、焦らないことです。

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