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症状別アドバイス集

その他の部屋・1999年

抑うつ神経症の悩み '99.12

抑うつ状態のすべてに森田療法が有効であるとは言えません。しかし抑うつ神経症の人の多くは森田神経質と考えてよいと私は考えています。そのような人達は、完全主義者で、その行き詰まりからうつ状態となると理解されます。治療を受けているならば、薬物療法は軽快するまでは継続しながら、森田療法の勉強をするとよいと思います。何かうつ状態から脱するヒントが得られるかもしれません。

「哀しみ」の感情 '99.11

「哀しみ」はとても人間的な感情で私たちが最も大切にしなくてならないものです。それがあまり強くなるならば次の点を考えてみてください。そこでは悪循環が働いていないでしょうか。自分は駄目な人間である、全てがうまく行かないなどというマイナス思考から気分の落ち込み、それがまたマイナス思考を強めるという悪循環です。これが現代人の悩みの代表的なものです。それが強迫神経症のグル−プのところで述べた完全主義者の挫折のパタ−ンです。些細な自分の欠点、失敗を自分の全てと決め付け、落ち込んでいくのです。このようなことがないか、自己点検をしてみてください。

うつ病と森田療法(その2) '99.10

「うつ」には2種類あります。内因性うつ病と神経症性うつ病で、前者の治療は薬物療法と休息が中心になります。神経症性うつ病は、現代的森田神経質と考えられる場合が多く、森田療法の適応となります。前者の内因性うつ病の場合も、急性期の場合は別ですが、回復期あるいは慢性化してしまった場合には森田療法が有効です。また私は、うつ病の予防にも森田療法は役に立つと考えています。一般には薬物療法と併用しながら、自分のうつとの付き合い方や自分としての生き方を考えていくことが、どのようなうつ病の治療と予防にも欠かせません。

日記について '99.9

正しい日記の書き方はなかなか難しいものです。確かに書き方によっては、悪いことだけしか書けずに返って苦しむことになってしまいます。助言者がいてコメントをもらう場合はまた別ですが。
なぜ日記を書くのか。自分を内省し、理解し、新たな自分を発見し、修正していく有力な手段だからです。書きやすい、そして続けやすいスタイルを見つけること、日記を書く目的をはっきりさせることが重要だと思います。そして自分の持つ2面性、例えば欲望と恐怖、感情と行動などをはっきり自覚しながら書くことを薦めます。

劣等感と向き合う '99.8

はっきりとした症状はないけれども、「どうしたらいいかわからない」、「病気であるか」と、強い劣等感で悩むということは、いわばいったい自分は何者で、どのように生きていったらよいのか、という自分の不確かな存在をめぐっての悩みのようにも理解できます。それゆえに人と比べて劣っているに違いないと鋭く悩むのでしょう。
この問題は簡単に答えは出ません。一歩一歩、「こうあるべきだ」という自分で自分を縛っている部分をゆるめ、自然な自分の生き方を見つけていくことが必要なのかも知れません。そして自分としての体験をつみ、自分を成長させていくことが大切だと思います。

百人百様の悩み '99.7

現在休職中であと5ヶ月もすると会社を解雇されるのでは、という不安に悩んでいる方がいます。このような時には今までの治療を続けていきながら、自分でできることは何かと問うことも大切です。自分を知り、多分自分の完全主義的な生き方を知り、その限界を知ることから今までと違った見方ができるようになるかもしれません。そのために森田療法の勉強は役に立つと思います。
ご近所との関係で悩んでいる方がいます。あまりにもご近所との関係に敏感になりすぎているのかもしれません。そこにとらわれるとますますご近所の方の動向に敏感となり、不安はますますつのります。まずは自分の生活の質を上げ、楽しみを見つけるように発想を転換できると楽になるかもしれません。

神経質の「個性」 '99.6

人が悩むと、平均な普通の人になりたいと渇望します。しかしそんな人はいるのでしょうか。神経質者は強烈な個性の持ち主であると思います。ただ本人だけが、自分は弱い人間だ、繊細で傷つきやすい、だめな人間だ、と思い込んでいます。しかしその背後に誇り高い自分、頑固で、自分のやりたいことしかしない自分、つまり我の強い自分があります。ですからその人生は波瀾万丈なのです。
そしてこの我が単に自己中心的でなく、その人のものの感じ方、取り組み方、生き方として洗練されて表現されたとき個性的な生き方、創造的な人生が歩めると思います。森田先生の生き方がそのことを物語っています。

悩みを抱え、成長する '99.5

森田療法のビデオ「生きる」を見ての感想が寄せられています。藤田先生は私の尊敬する先輩です。また、この制作の仕掛け人の丸山晋先生は、4月の行われた国際日本森田療法学会の組織委員として2年ほど一緒に仕事をしてきた身近な親しい先輩です。このビデオは今までの森田療法のビデオと異なり、スト−リ−性があり、わかりやすいものだと私も感心しました。機会があったらぜひ見てください。
フォーラムでは興味深い指摘がされています。私たちは、悩みを解決するために、あれこれやりくりするのではなく、その悩みを丸抱えできれば、その悩みは実は解決しているのです。私はそれを心の器を大きくする、成長するといいます。

東洋の”生きる知恵”1 '99.4

4月になると春めいて、新しい生活が始まる予感がします。私は冬が苦手ですので、春と共に今年一年の新しい生活を思い浮かべます。私事ですが今年の一月から森田療法の本を書いています。今まで書いたものの発展版で、森田療法とは何か、東洋の文化、哲学、宗教などの知恵と森田療法がどのような関係があるのか、そして西欧で発展した精神療法と類似する点と異なる点などを念頭に書いています。

主たるテ−マは、我執、最近のはやりの心理学的用語でいえば、ナルシシズム(自己愛)と森田療法です。結局われわれが生きているということは、生病老死の苦を背負って生きることです。森田流にいえば、生きるという欲望が恐怖、つまり苦を生むわけです。したがって苦の否定は生の否定につながります。よりよく生きたい、それゆえ苦悩を伴う人生を歩まざるを得ない、それが神経質です。その苦悩を自分の生として引き受けた時、私たちのあるがままの生き方、自分としての生き方、自分を生かす生き方が始まります。これは森田療法のオリジナルではありません。釈迦に始まる仏教、それはすでに2500年前という途方のない年月が経ているわけだが、ではすでに生病老死の苦がどのように滅却されるのかが真剣に論議されました。そして東洋におけるわれわれの恐怖、苦に対する回答の一つが森田療法であると私は考えています。

なぜこのようなことを総評で書いたかというと、その他のグル−プでの「森田療法について最近考えること」のやり取りに刺激を受けたからです。

なぜ釈迦のことを持ち出したか、東洋の伝統的考えを持ち出したか、これは京都の三省病院で森田正馬先生が退院のまじかの患者の不安に対して釈迦を例に挙げて説明しました。それに習ったわけです。しかしそれだけではありません。われわれは森田とどのように付き合っていくかという問題への森田療法の回答には東洋の生きる上での知恵がふんだんにあるからです。それを見つけていくのがむしろわれわれの課題であると私は考えています。

それについてはフォーラムを参照してください。貴重なヒントが得られると思います。私の回答は単純です。それはその他のグル−プの私のコメントを見てください。

東洋の”生きる知恵”2

ここを読まれる方はまず総評をお読みください。このコメントは総評の続きです。直裁にいえば、おのおのの自分なりの森田がある。その人の生い立ち、年齢、性、そして今おかれている状況、つまりわれわれの人生にあった森田の理解の仕方があると思います。それがもっとも大切なことです。そしてその時その時に直面する困難に見合った森田の理解があり、新しい発見があると思います。人が真剣に生きようとするならば、かならず壁にぶつかり、その時に森田の知恵が生きてきます。森田は、偉大だが森田の知恵は総評で述べたように、森田個人のものではないと考えています。それは東洋の長い歴史の中で培われてきたわれわれの悩みの解決法の具体的な提示であり、われわれの共有する財産なのです。したがってあまり森田と意識せず、東洋の知恵だと思って、森田を自分なりに理解するということも必要だと思います。自分なりの森田の再発見こそ、われわれの人生において重要な課題でしょう。

過食症 '99.3

過食症の人は一般に完全欲が強く、かくありたいという欲求に自分自身が縛られていることが多いようです。とても生きることにまじめで、それゆえ気分転換がへたなのです。つまり森田神経質なのです。従って森田療法は過食症にも役に立つでしょう。そのような自分の生き方のパタ−ンを知り、それを自分なりに修正するように心がけることから、なにか新しいことが始まると思います。ここでの皆さんとの対話は意味のあるものとなるでしょう。

家族の悩み・劣等感の悩み '99.2

家族のことを心配し、悩む気持ちはよく分かります。まず自分自身の生活をしっかりとして、後は家族の方が全員協力し出来ることをしながら、時を待つことだと思います。それと信頼できる専門家の先生を一人相談役に決めて、その人に折りに触れて助言してもらうことも大切でしょう。劣等感の悩み。劣等感は欲望の裏返しです。負けず嫌いなところがあるかもしれません。まず人との比較でなく、自分の好きなこと、楽しいこと、自分の感じ方などを生活の中で見つけていくことが良いと思います。

読書のすすめ '99.1

なにか悩んでいるときには、よかれとおもって行うことが、しばしば自分の悩みを強めてしまいます。そのようなことを避けるために専門家のアドバイスとともに大切なことは、自分で自分の悩みの性質を知りそれを克服する努力をすることです。そのために一つの手段として本を読むことがあります。読書療法という名前がつくくらい、一般的なものです。森田先生の本を読んだだけで、大正昭和の多くの若者が救われたといいます。その延長としてこの心の体験フォ−ラムや生活の発見会活動があります。

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