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神経症を治す〜精神療法の基本原理ー森田療法と認知行動療法Q&A

(第129回心の健康セミナー「精神療法の基本原理ー森田療法と認知行動療法」の質疑・応答より)

Q1:10年間薬を飲んでよくなりません

A:

生活ができているとすると軽症である可能性があります。
10年間よくならなかったら、医者を変えてみてください。
先生に紹介状を書いていただいて医者を変えていただくのが、この問に対してはよろしいのではないかと思います。同じ薬10年間服薬し治らないということは精神科の治療としては行いませんので、これは医者を変えてください。
強迫性障害には洞察のある人とない人がいます。洞察のある人は、これは一般的には軽症のものです。 洞察のない人は、これは重症のものです。
強迫性症の場合、軽症であればお薬は効きますが、強迫性障害の重症の場合お薬はあまり効きません。 これは森田療法を主とする強迫性障害は、強迫観念、強迫行為があります。
強迫性障害を持っている方で、不潔恐怖を持つ人は何度も手洗いをします。
このような症状群と確認をする症状群があります。
汚染恐怖の人は手を洗い、確認をする人はしばしばイライラしますが、これは治療法が同じではありません。 精神療法する時には、不潔恐怖に対しては、暴露反応妨害法が一番よく効きます。それで多少良くなって来たら、森田療法に入るというのが、精神療法の順番としては良いのではないかと思います。
このような症状群に合わせて治療を行っているのは、浜松医大です。
洞察のある人については、森田療法を中心とする精神療法をやった方がいいと思います。
それを全部やっても治らない方が3割位いますが、これに対しては、私どもが考えていますのは、脳の中に電極を差し込んで電極で刺激するという治療法です。アメリカ、ヨーロッパで一般的になっています。
我国では、ロボトミーの極めて苦い経験がありますから、精神障害や精神症状のある方の脳の中にメスを入れるということに対して、極めて偏見に満ちた反対がありました。日本ではなかなかできない状態ですが、しかしながら恐怖性障害を持っている方は、精神療法をやった後でも治らないのでしたら、私はこの方法で治るのであれば、説明を十分に聞いて、この治療を受けてみるといいのではないかと思います。
この治療は極めて安全な方法で、パーキンソン病に使われている治療を応用します。この準備を始めて6年になりますが、あと2年位で、実行できるように何とかしたいと思っています。
何をやっても治らないという方の為に、アジアですと韓国で開発されている治療法があります。日本では行われておりません。
3割位どんな方法を用いても治らないという方がいますが、実はそういう方には、私ども精神科医は、回答を持っていないというのが、実際のところです。
すべての治療は、まずは一歩一歩進んで行くことが大事です。
これを用いると立ちどころに治るという治療は原則としてございませんので、まず森田療法の存在を知っていただいて、そういうものから勉強していただき、森田療法の本をお読みになるということからお始めになったらいかがでしょうか。
軽いうつの可能性もありますから、精神科の診察をお受けになって、うつかどうかの判断をしていただいてください。
うつであれば、森田で治すということも大事ですが、やはり森田はあくまでも治療法ですので、森田の前に基本的なことがあります。
心の病気も体の病気も治療の大原則があります。それは休息を取るということです。休息は心の病気でも体の病気でも何よりも優れた治療法です。休息を取ってそれでも治らない、その時に休息を取りながら森田療法をやるといいです。休息というのは何事にも代えがたい治療法である、ということをまず知っていただくこと。病気にもよりますが、休息を取ることをお勧めします。多くの手法を持って、一つ一つこの障害を治していく場合には、この症状に対しては何が一番いいのかということを私どもは考えます。森田療法の適応かどうかの診断が必要なのではないかと思います。従いまして、まず診断を明確にすることが重要だと思います。

Q2:夫婦でうつ病の場合の治療法は?

A:

うつ病は世界に爆発的に増加しています。日本の場合、正確な数値はありませんが、少なく見積もって10〜20人に1人がうつ病であろうと思います。うつ病にはもちろん他の病気と同じように軽症から重症があります。症状も多様ですが、典型的なうつ病のことを大うつ病といいます。そうではないうつ病の場合もあります。
例えば森田療法の適応となるうつ病です。一見症状は軽いけれども、長引いているという点において重症ということが言えます。症状が違いますから、特にうつ病であれば、このような精神療法をいうことは出来ませんが、抑うつ気分、それからそのような抑うつ気分があまりなくて、意欲が低下しているという方については、森田療法がよろしいかと思います。
しかし、ある程度良くなったけれども、尚、自分はすぐ批判的に物事を考えてしまう、これは認知療法です。 批判的な考え方をするうつ病には認知療法、あまり批判的な考え方をしないけれども体が怠るくやる気がでない、これは森田療法、というように大雑把にお考えいただきたいと思います。

Q3:安定剤や抗うつ薬は長期使用で依存症になりますか?

A:

お薬ですから悪影響はあります。そんなに大きな悪影響ではありませんが、薬は肝臓に負担が掛ります。 精神科では薬が増えていく傾向があります。いったん増えると、これはなかなか減量するのが難しいです。 それからお年寄りですと、効果がでる前に副作用がでやすい傾向がございます。よくなれば薬を止めることができます。
お薬の治療だけだと再発しやすいですが、精神療法を併用すると再発をしづらいというデーターがありますので、お薬と同時に精神療法を受けるということが大変いいかと思います。それが精神療法のいい点です
現在では、認知行動療法という治療法が保険医療制度で点数化されておりますから、そういう治療を受けたいのですが、ということを申し出てみたらいかがでしょうか。
ただその治療が上手い病院とそうじゃない病院が実際あるのは事実です。

困難なことが沢山あるとパニックになって、森田療法では解決できないということですが、この場合は、ずっとこういう症状があるのかどうかというのが、重要な点かと思います。
これがずっと続いていると考えづらいので、最近なったとすれば、以前はいい状態であった訳ですから、私どもの医学的な考え方は、ずっといい状態があって、悪くなった前の状態に戻すということが医学の根本的な思想ですから、前にはそういうことがなかったというのであれば、これはおそらく森田療法を使わなくても、うつ病であるかもしれませんので、お薬を短期的に飲むことによってもとの状態に戻ることができると思います。
これがずっと長引いているというのであれば、これはまた話は別です。
その場合は、また別な治療法で、定期的な通院あるいは入院、その前に診断が必要だろうと思います。

それから、あるがままとは眠れないのに眠剤を飲まないでいくことなのか、このような考えがかつてあったことは承知しておりますが、現在は睡眠の研究がたいへん進んでおりまして、眠れない場合は、眠剤を飲んで眠るのがよろしいです。要するに、ある程度医師の考えがあります。そんなに苦しんで生きる必要はないのだよ、というのが、私の考えであります。従いまして、安全な薬ができていますので、お薬を使って眠ることが出来ればいいと思います。
例えば、依存性になりやすい薬もありますけれど、人間は夜眠る時にメラトニンが出てまいります。そのメラトニンに弱い薬ですが、そういう薬もございますし、もしそうであれば、何も我慢することはないのです。 森田療法は我慢しなさいと言っていますが、それは我慢した後に症状が解決して楽になることが見えているから、我慢しなさいと言っています。
この不眠の場合は、我慢しても良くなるという展望が見えないということが、睡眠の研究によって分かっているので、そういう我慢はしてはなりません。
森田で我慢をしなさいと言ったのは、その我慢は必ず報われるから、我慢しなさいと言うことが分かっているので我慢して欲しいのです。
不眠について我慢する必要はありません。

妹さんについてのご相談です。
仕事に行かず10年いろいろな治療ということですが、もしこの意味が自宅にひきこもっているという場合ですと、その前に精神学的にはやるべきことがあります。
ひきこもり対策ということを多くの保健所、あるいは市役所等でやっておりますから、彼らにまず相談して、そのひきこもり対策を行っているかどうかお尋ねしてください。そのことがまず第1番目だと思います。 極めて粘り強くやってくれます。あるかどうかは、今お住いの市役所等に問い合わせてみてください。保健所でもいいです。
そしてやっていなければ、今は多くのNPO団体があって、そういうものを依頼しているところもたくさんありますから、ご確認ください。
彼らの手を借りて、まず内から出して、その出してくれた方々の判断によって精神科の治療が必要かどうか、そんなことは必要なくて私たちと交流するだけでいいというふうになるのかどうかです。
是非、その力をお借りになってみたらいかがでしょうか。
浜松医大の入院の仕方ですが、通常の手続きで実施していただいて、そして森田療法が合致するというのであれば、入院手続きをいたしまして、入院となります。普通の入院の手続きでお出でいただければいいと思います。
それから同じように森田療法を受けることが出来るこの辺の大阪、神戸の医療機関は、財団の方にお尋ねください。

Q4:精神科ではMRIのような画像診断ありますか?

A:

基本的に心の病は、MRIでわかりません。 わからないのでどのようにしていますか、ということですが、それは研究段階です。
脳の中の物質がどうなっているか、これは例えば、その脳の中の物質を見るペットという装置がございます。これは私どもがやっている研究ですが、そういうものを見ますと確かに特別な方法で見ますと、MRIでは異常はないのだけども、そのペットで見ると、例えば、脳の中に物質があるとします。その物質を見ることができません。しかしその物質にくっ付くある追跡する物質にあう、トレーサーといいますが、トレーサーを合成しまして、その体の中にうって、脳の中の特別な物質とくっ付く分けです。そうするとそれは、光センサーで放射線を出しますので、光センサーでキャッチして脳の中の物質の動きがどうなっているか見る装置があります。
研究用です。これはガンの検診に今使われるペットと同じです。
ガン検診のペットです。ペットは脳のブドウ糖代謝を見るものであって、研究に使うことはできません。研究に使うためには、その物質を合成する大がかりな装置が機械の側にある必要があります。しかもそれは放射線を出しますから、その放射線は極めて微量で、長引くと困るので体の中でせいぜい30分以内に体から消失するようなそういう物質を合成して見ていきます。
そうすると異常がありますが、それは研究の段階で現在は見ることができません。ただその方法で研究できるのは我国では浜松医科大学と放射線総合医学研究所の2ヶ所しかないので、通常の医療機関では受けることができません。

Q5:森田療法と禅は関係ありますか?

A:

一つは、私が思うには森田の禅書を禅のお坊さん白隠禅師が「夜船閑話」という本を書いています。これを読んでみると白隠禅師がどうも神経症になっている。京都の白川の山に登って修行して治したということが書いています。そこを一部、参考にしているのではないかと、これは禅の中でも私の推測です。白隠禅師の本に書いてある訳ではないのですが、その後の養生集の中に別の坊さんが書いています。座禅について、寝禅について書いた本があります。
森田正馬は、そういったものから、臥褥というものを思いついたのかなと、そして、森田療法の号です。森田正馬はいろいろ物を書く時に森田形外、形外と書きます。仏教には108の悟りをひらく道があって、いわゆる108以外の悟りの道として禅というのが設けられていたというのが、仏教思想になっている訳です。
形外というのは108以外の意味なのですか、と三島森田病院の森田先生の養女の方に聞いたらそういうことは父からは聞いたことがありません、と言われました。
従いまして、禅を参考にしているとは思いますが、具体的に、禅のこういう思想ということは申し上げることができなくて、私の推測になります。
認知行動療法や森田療法は、日記指導で強化する、とありますが、日記を1ページ書くのに患者さんは40分かかる、20分で書ける人は相当早いです。
40分かけて書いた自分の一日の生活をつぶさにもう一度見ます。
朝何時に起きて寝るまでのことを書きます。
浜松医大の方式の場合は、あそこで不安があったけれども、ここでこの不安を抱えながら、私は皆と一緒にこのクリスマスに向けた準備をしなくてはいけないからやってみた、など書いてあります。
その時に例えばその不安は、何がそうさせたのですか、と聞いていきます。
日記を見ながら問答していきます。それが、認知療法だと言うことです。
森田療法の中の日記指導の中で、認知療法の意味合いを持っているのだけど、私どもはその森田療法の行動療法の側面、つまり目的本位をさらに強化するために森田療法を認知療法、日記指導、色濃く導入しています。 これについて私どもは議論を重ねたのですが、森田療法を指導していた心理の先生も、やってみようと私の考えに同意してくださって、そんなふうにやっています。

Q6:人との関係に疲れるのは対人恐怖か?

A:

対人恐怖のご質問です。ご質問は、ある人にあの人といると疲れると言われるということですが、これは対人恐怖だけを持っていますと、先程の体験の話にもありましたように、もの凄く他人に気を使いますので、大変失礼な言い方になりますが、対人恐怖のみでなくいわゆる広汎性発達障害の可能性がないか、一度診察を受けてみてはどうかと思います。

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