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神経症を治す〜家族や職場の対処方法

神経症や不安障害を取り巻く家族や周囲の人々はどのように対応すればよいのでしょうか。その症状やタイプは様々あり、多種多様です。ここでは、神経症や不安障害の人に対する一般的な対処法を紹介します。

家族の対応

まずは話を聞き、不安や症状のつらさを理解する

まず本人にとって不安や症状は非常につらいものだという事を理解する、という事です。神経症の症状やその根底にある不安は、健常者のそれと大きくかけ離れたものではありませんが、患者にとっては非常につらく、長期に持続する事が多いので、大変な事なのです。したがって、「どうしてそんなばかばかしい事を考えるのか?」とか「気にしなければよい」等という助言はなるべくせず、まずは本人が悩んでいた事や症状について、話を聞き、理解する事が大切です。

休息も大切だが、期間や状況に応じて活動を促す

では、不安や症状のつらさを理解した上で家族はその後、どのように対処すれば良いのでしょうか?一般によく言われるのは、とにかくゆっくり休ませたら、という事ですが、休息だけで良いのでしょうか?
たしかにパニック障害やうつ病など、しばしば過労やストレス等が原因で発症する神経症や不安障害もあります。これらの場合、まずは休息が必要でしょう。しかし、例えばうつ病でも数週間〜数ヶ月の休息が必要でしょうが、徐々に回復に向かう時期には、むしろ少しずつ活動モードに切り替えていく方が、良い効果が出てくると言われます。
神経症ならなおの事、休息の期間はより短くて良いのです。実際には、例えば森田療法でいえば、入院では1週間程度の休息期があり、この位の期間後は、病人として接するよりも、健常者と同じように、症状を抱えながらも普通に生活を送るよう、周りや家族もそのように考えて促す事が大切となります。

症状を理由に無理な要求には、歯止めをかけ、少し距離をおく

神経症の場合、例えば確認恐怖の人が、確認行為を本人だけでなく、周囲の人や家族に無理矢理、強要する場合があります。また不潔恐怖の人が何時間も手洗いを強いる場合などもあります。
これらの行為に、家族はどこまで付き合うべきなのでしょうか?
このような状況にある家庭では往々にして、家族が全て受け入れてしまっているケースが多いようですが、できれば、常識的な時間や程度で切り上げるなどして、リセットする事が必要でしょう。また確認行為で、「大丈夫よね」といった保証をしていてはきりがないため、「少なくとも私はこれでよいと思う」などと切り返した方がよいでしょう。

また、家族が本人と少し距離をおくというのも必要でしょう。熱心な家族は本人と同様か、それ以上に何とか症状を良くしようとするあまり、かえって過干渉になりがちです。神経症に限らず慢性化しやすい障害では、熱心な家族ほど、ああしたらよい、こうしたらよいなど、色々な事を働きかけるのですが、思うほどに変化が現れず、かえってイライラがつのったりします。そうすると本人に対して批判的になったり、怒ったりして、また本人に自信を失わせ、無力感に陥らせたりして症状が悪化し、一種の悪循環につながるのです。
したがって、干渉しすぎず、やや距離をおいて見守る事も大切な視点です。
これとは逆に、全く関心を示さない家族もまれにありますが、この場合には反対に、たまに声をかけるなど、少し関心をむけてほしいと思います。
しかしその関心とは、症状の事ではなく、本人の生活や人生等について目を向けるという事が大切です。要はある程度、本人の自主性にゆだねながら、ある一定の距離をもって、そのバランスをとることが重要となります。

職場の対応

神経症や不安障害の人が実際に職場に復帰する場合、どのように対処したら良いのでしょうか。

復帰後、どのようにすべきか、十分に話し合う

今日、過度のストレスや過重労働で神経症やうつ病などを発症するケースは、非常に多いものです。また、本人の性格や職場環境から、一人で仕事を抱え過ぎで無理がたたり、それを契機に発症する場合もあります。
いずれにしろ、病院への受診や治療でその発症の原因などを把握していれば、それを元に、復帰前に職場で今後、どのようにすべきかをよく話し合う事が必要となります。
同じ職場なら、当初は仕事量を減らすとか、出勤日数や時間を減らす等、段階的にしていくことが原則です。あるいは、職場を変えてもらう(あるいは元の職場に戻す)というのもひとつの方法です。
また無理な過重労働から発症したような人は、よく復帰とは以前と同じように仕事をこなす(量、質、スピード等)という前提で考える人が多いのですが、無理な仕事ぶりがあるからこそ、発症した事を本人及び職場の上司等が十分に理解・確認した上で、仕事の配分や役割分担を考慮し、再設計する事が重要になります。

職場に相談できるような雰囲気をつくる

今日、企業によっては医務室や相談室がある場合もありますが、人事考課なども気になるためか、なかなか利用しづらいというのが実態のようです。
しかしそうはいっても、ストレスや心の問題で悩み、神経症や不安障害を発症する前に、このような施設や場所を利用する事は非常に大切な事です。もちろん復帰後も、再発を含めて利用する、あるいは職場の側で、人事考課に関係なく安心して利用させ、休憩を保証するという事は非常に重要な視点でしょう。

逆にこのよう定型施設がない職場では、できるだけ社員や上司、同僚の間で相談できるような職場の雰囲気づくり等が重要となります。現代は、生産性を重視する職場がますます増加する中で、一人の善意や責任感だけではこのような職場づくりはなかなか難しいものです。したがって会社全体のシステムとして、どのように雰囲気を含めた職場環境づくりをしていくかが求められるでしょう。

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