症状別アドバイス集

普通神経症の部屋

「書痙について」 '17.3 

Jさんは以前も時折手が震えることはあったものの、3年前の単身赴任以降、書痙の症状が急激にひどくなり、この1年半ほどは自室で一人書類に記入する際も緊張して手が震えてしまうとのことです。手の震えの原因は色々あるにしても、震えをより気にするようになった背景には自分がどうありたいかという思いや対人場面への身構えなども関係しているのかなと思います。3年前が大きな転機ということで、家族や慣れ親しんだ場所を離れたことに加え、転勤で職場の雰囲気や仕事の内容、役職が変わられたといったような変化もあったのでしょうか。手の震えを意識してしまい、同じことにならないようにと努めれば努めるほど手が震えてしまうというのは辛いですよね。

森田先生は退院患者さんを対象に開いていた「形外会」で何度か書痙についてお話されています。その中で何度か登場するのが山野井さんという方です。この方は書痙の背景に、対人恐怖もお持ちでした。森田先生のところに入院して40日間作業をとにかくやって、退院の頃にはあまりよくなった感覚がなかった。良くならなかったので会社を辞めたかったが、森田先生に会社に戻らねば治らないと言われてしまい、恐る恐る重役に面会に行くことになった。その際、重役の部屋に入るまでは不安でたまらなかったのに、一言二言話すうちにすらすらと話すことができ、初めて入院の効果に気付いたとのことです。その後書痙も改善していきました。森田先生は山野井さんの改善のメカニズムをこう分析しています。「退院時に思い描いていたようによくなっていなかったことで、ご本人には森田への恨みの気持ちがあっただろう。しかしこの恨みと同時に一方にはむしろもう治らぬものと覚悟し、捨て鉢になった時に初めてここに心機一転の時節が到来したのだ」。

Jさんの「絶対乗り越えます」には強い意志とガッツを感じます。その力を(もうそうされているかもしれませんが)手の震えを止めることそのものよりも、仕事や生活で必要なやることを進めていくことに向けていただけたらと思います。手が震えないようにと思ってしまう気持ちは我々の心の自然ですから、その気持ちはそのままに。でもできる範囲でやることをやる。森田先生は「(手が震えないようにと)はからう心はそのままに、ただペンの持ち方は自分の心持のよいように持ちかえるのでなく、必ず正しい持ち方をして、字は震えても不格好でも遅くとも読めるように、金釘流に書くということを忘れさえしなければよい」と述べられています。震えが気になる裏にある自分の気持ちや考えについて、カウンセラーの方とともに振り返り理解しながら、日常生活はこのように送っていただけると良いかと思います。また体験フォーラムでもその後の様子を教えてください。
(今村祐子)

「身体の症状と付き合いながら」 '17.2 

Kさんが頭のふらつきや頭重感、身体の揺れに困っています。心理的ストレス場面で強まるようです。家に閉じこもって横になっているとめまい感が強くなるようですが、病院で検査しても特に異常はないと言われたとのことです。薬を飲むにも(耐性が出来て効かなくなった際には症状に苦しむのではないか)との不安があり、薬をやめようとしたところ、身体のグラグラ感から横になってもいられず、生活自体が出来なくなってしまったとのことです。

眠っている間は頭重感は生じないのは、寝ている間は症状に意識を向けないからだと考えます。「症状を書くほど治るのが遅れる」というのは、書くことにより症状に視点を向けることで「精神交互作用」により症状を強く感じるようになるため、そういう治療姿勢にならないように述べられたものだと思います。

薬の内服を「はからい」と書かれていますが、主治医の先生と相談して内服しているのであれば、決して「はからい」ではありません。セニランによって頭重感は和らぐとのことですので、「また症状が出るのではないか」と常に気にする状態でいるのでなく、まずは薬を定時に飲むようにして、出来ることから行動してみることです。また、その取り組みのなかでもし症状が出た場合にも、(きちんと定時薬を飲んでいるので)すぐに頓用薬で対処しようとするのでなく、症状を感じつつも出来る範囲でやってみることをお勧めします。

「死んでも構わないという開き直りの心境になれない」とのことですが、誰もが森田先生のように思える訳ではありません。焦らずやって行きましょう。
(矢野勝治)

「とらわれにくくするために…」 '17.1 

Aさんは約2年前に回転性めまいをおこし、耳鼻科、カイロプラクティックで加療されましたが、思わしい改善はありませんでしたが、現在はリハビリを続けていらっしゃいます。めまいは気持ち悪くなったり、立っていられなくなったりなどの症状も伴いますし、本当に辛かったと思います。その中で良く頑張ってリハビリを続けていらっしゃいますね。その甲斐もあって、大きな発作は起きなくなっているとのことですね。めまいに対しては自律訓練法も有効な方法だと思いますが、Aさんは「とらわれやすい性格」とのことですので、森田療法的な考え方・方法も役に立つと思います。

めまいは不快ですので、「なんとかなくしたい」という気持ちは良く分かります。ただ、とらわれやすい人が、めまいそのものをどうにかしようとすると、「今、めまいはしていないかな」「今日、めまいはでないかな」「外出しても大丈夫かな」などと考えがちで、どうしてもめまいに注意がいってしまいますね。その結果、自分自身の身体に注意が向いて、自律神経が乱れてめまいをおこして、さらにめまいが気になって、と悪循環になりがちです。ですから、「めまいをなくす」ということに力を注ぐよりも、「日常生活を豊かにする」という所にエネルギーを注いでいくことをお勧めします。めまいのために、あるいはめまいへの恐怖のために本当はやりたかったのに、できなくなってしまった、もしくはやらなくなってしまったことはないでしょうか。どんな些細なことでも構いません。Aさんがやりたいこと、やってみたいこと、少しずつ手をつけていきましょう。今の生活を充実させていくことが、とらわれにくくするコツです。是非とも頑張って下さいね。
(谷井一夫)

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