症状別アドバイス集

強迫神経症の部屋

「強迫観念の正体」 '24.02 

Mさんは今年に入って神経症が急に悪化し、加害恐怖・鬱恐怖などに悩まされ、今度こそしっかり神経症を治さないといけないと思われているとのことです。

夜に恐怖がピークになった時に、よく不安を感じ続けてみましたね。その中で、恐怖がピークに達すると自然と緩んでいくことを実際に体験できたのは大きな財産ですね。

強迫観念は、この「恐怖にとらわれたときの不快感」をなくしたいと自ら焦り、もがく時に発生すると森田先生は述べられています(森田正馬全集第4巻より)。Mさんの例では「今日は恐怖にとらわれたときの不快感を感じずに一日を終われるかもしれない!」とか「また来たらどうしよう」と思った時に、強迫観念がより強まる、つまり、強迫観念を「感じること自体を避けよう」とする心の働きによって、逆に強迫観念が強まっていると言えます。うまくいっている時ほど「また強迫観念が来たらどうしよう」という思いが生じるのも、この「感じること自体を避け」ようとする流れと一貫しているのではないでしょうか。

目の前のことに心を込め、不安や観念となるべく戦わないように過ごしていこうとされているのはとても良いですね。不安な時は不安、うれしい時はうれしいというように、感情はその時の状況によって揺れ動くものです。不安や観念が起きないようにしようとすることで無理が生じてしまいます。嫌なものは嫌、好きなものは好き、普段から自分の率直な感情を具体的に感じるようにしてみてください。感じにくい感情や人に言いにくい感情があれば、それはなんだろうと目を向けてみてください。そうやって自分の率直な感情とのつながりを良くしていくことで、不愉快な感情ともより付き合いやすくなっていきます。
(矢野勝治)

「自分をまた信じられるようになる方法」 '24.01 

Jさんは他の車に傷をつけてしまうという不安や、ストーブ・電気の消し忘れの恐怖など加害恐怖的な症状が強くなり、仕事での支障も大きくなってきていると書かれておられます。最近、より急速に症状が広がり、苦しくなって来られているようですね。森田療法を行われている心療内科を受診することにされて、良かったです。

Jさんの何度も確認するほど心配になっている自覚はとても大切ですね。確認を何度しても不安が募り、確認回数が増えていくのが強迫症状のからくりです。頭の中での完全を求めれば求めるほど、目の前の事実や自分の感覚を信じられなくなっていってしまうのです。例えば、Jさんの書かれていた封筒の例でも、本来であれば、汚れていないか気になって何度も触ることで逆に汚してしまう可能性が高いですよね。

ですので、第一に、確認を2回で済ますように意識されているのはとても大事です。不安が解消したか否かで行動を決めるのではなく、回数(例えば2回確認したのだから確認を切り上げる)、または時間を物差しにして次の行動に移るようにしてください。そうやって○分確認したのだから大丈夫と自分に声掛けをし、不確かな自分の感覚をよりどころにして次の行動に移るプロセスを繰り返すことで、自分の感覚への自信を取り戻していくことができます。

第二に、ミスはできない、完璧にこなさなければ迷惑をかけてしまうという感覚がずいぶん強くあるようですね。小学校高学年で始まった嘔吐への恐怖も弱みを見せられない、完璧にしなければいけないという構えと関係していそうです。大きなミスや、それによって恥ずかしい思いをするような経験が過去にあったのでしょうか。どんなところから自分の恐れが来ているのか、自分の身に何が起きることを恐れているのかを良く見つめてみてください。自分の中にある完全を求めるプレッシャーが弱まると、そのままの自分でいやすくなると思います。

最後に、やりたいことがいろいろあるのはとてもいいですね。おっしゃっていたように、不安を無視してまたは不安を感じながら趣味に没頭してください。楽しい上に、自分の感覚を取り戻すことにもつながるはずです。
(矢野勝治)

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