症状別アドバイス集

強迫神経症の部屋

「仕事に手をつけているうちに自然に集中してくるもの」 '17.1 

Aさんはご自分の視線が周囲にいってしまい集中できない、自分の視界や視線を常に生活の中で意識してしまう、ということで悩んでいらっしゃいます。今回、職場の異動で細かい数字を扱うこととなって、余計に視線の悩みが仕事の邪魔になっていると感じていらっしゃいます。Aさんは、高校生の頃から約20年間、その悩みがありながらも、お仕事をされ、家庭を守っていらっしゃったのですね。苦しい中、とてもよく頑張ってこられたと思います。

授業の時に「黒板だけに集中したい」という気持ちや、仕事の時に「今の仕事に集中したい」という気持ちがあるのは、とても自然なことだと思います。おそらく、Aさんは、勉強や仕事に対して、「ちゃんとやりたい」という気持ちがとても強いのだと思います。その気持ち自体はとても良いことだと思いますが、その分、「ちゃんとやりたい」が「ちゃんとやらなくては」と森田療法でいうところの「かくあるべし」となっているようですね。「ちゃんとやるためには集中しなくてはいけない」から「集中できない邪魔なものを排除したい」という気持ちも強くなっているのかもしれません。

Aさんが、おっしゃっているように、現実的には「授業だけ」あるいは「今やっている仕事だけ」を見ることは無理ですよね。黒板だけを見よう、先生の話だけ聞こう、と思っても視界には他の生徒の姿が入るし、おしゃべりをしている声も耳に入ってしまいます。それと同じように、「今の仕事だけに集中しよう」と思っても、他の雑務も入ってくれば、他の人の姿も声も目や耳に入ってくることでしょう。

私たちが本当に何かに集中しているときは、他のものはほとんど気にならなくなっているものだと思いますが、それは、自然にその状態が作られたもので、自分で準備をして、その状態を作ったわけではないことがほとんどだと思います。ですから、最初は「集中してないな」と思いながらで構いません。とりあえず、勉強や仕事に手をつけていきましょう。おそらく、他に何も見えないくらい集中していなくても、勉強や仕事はできるはずです。ましてや、20年間、苦しみながらもなんとかやってこられたAさんなら、出来るはずです。だんだんと仕事に注意が向いてくれば、頭は自然と集中してくれるものです。是非とも「集中してから仕事をしよう」ではなく、「仕事に手をつけているうちに勝手に集中してくるもの」ということを実践してみてくださいね。
(谷井一夫)

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