症状別アドバイス集

その他の部屋

「自分にとって仕事とはないか、問い直すとき」 '18.3 

Sさんは思春期の対人関係で辛い体験をされたことを契機に対人恐怖を抱え、社会人になった後も、仕事のストレスから鬱となり休職を余儀なくされたことは非常に辛い体験であったとお察し致します。また、2006年には舌癌という命に関わる病を患いながらもその治療を乗り越え、今まで転職を繰り返しながらも仕事を続けてこられたことに敬意を表します。そして今、仕事を続けていくことに非常に大きな苦痛を感じているという状態であることを承知しました。

Sさんにとって仕事とはどのような存在でしょうか?仕事の存在意義は人それぞれ様々です。生活していくお金を稼ぐため、自己実現のため、社会貢献のため、人に認められるため、などさまざまあると思います。仕事での行き詰まりは、Sさんの生き方を見直すチャンスかもしれません。

森田療法は、“かくあるべし”や“ねばならない”という固定観念を打破し、自分の持っている素の欲求を発見・発揮し、あるがままの自分を目指します。Sさんは今まで自分の気持ちを抑え、耐え忍ぶ生き方をされてきたのではないでしょうか?子供の頃に持っていたような、“〜したい”という純粋な気持ちを感じる時はありますでしょうか?もしそれがまったくわからない状況であれば、日常のありふれた事でもよいので、仕事以外のことに目を向けることをお勧めします。たとえば、電車通勤であれば、一駅前で降り、歩きながら目に入ってくる風景を観察してみる、昔好きだったことに手を出してみる、のんびりと好きな音楽を聴きながら1日を過ごしてみる、などいかがでしょうか?そして、自分の感覚や感情を意識してみてください。心地よいとか、落ち着くといった身持ちが得られれば、そのことにもう少し手を出してみましょう。

Sさんが何度も転職しながらも仕事を続けられてきたことを考えると、粘り強さは人一倍持っていらっしゃるのだと思います。そのエネルギーをどう生かすか、これが課題ではないでしょうか?現代社会は生産性向上や成果主義を謳われるようになり、メンタルヘルスが追いついていない職場が多いのが現状です。そのような中で、生き抜くためには自分の支えとなる柱を仕事一本に絞らないことも大切と思います。“仕事が生きがい”といった生き方は、仕事が順調に行っているときはよいのですが、仕事が行き詰まるとぽっきり折れてしまうものです。自分を支える柱が増えることを願っています。

今こそ立ち止まって自分の本当の気持ちを確認する時かもしれません。
(鈴木優一)

「迷い・自信喪失した時こそ、自分がどんな生活を送りたいのかを考えてみる」 '18.2 

Sさんはオーバーワーク(かなりの残業)の末にうつ病になり、異動したものの昇進も重なって新しい環境になじめず休職、その後復職したものの、何もまともに出来ないという気持ちで自信が持てず、何をするにも不安で、疲労感が強いとのことでした。怠けていると思われているのではと周囲の目も気になり、辞めることも考えたものの踏み出せずに悩んでいると書かれていました。オーバーワークをし、体調不良で異動しつつも昇進・・・ということですから、Sさんは仕事に真面目に取り組み、また成果を出す能力もある方なのだろうと思います。おそらく頑張りすぎてうつ病になってしまったのでしょう。

休職して、復職する際には、真面目な方ほど「今度こそダウンしないようにしなければ」と考えてしまうので、Sさんの場合も相当のプレッシャーがあったと思いますし、新しい職場に馴染むにはエネルギーが必要だったろうと思います。

ではSさんがダウンするほどまで頑張ったのは、何のためだったのでしょうか?周囲の期待に応えたいという気持ちもあったかもしれませんし、ご自身の完全欲(きちんとこなしたい)もあったかもしれません。また理想や、自分への要求が高いということもあるかもしれません。そういう方がつまづくと、逆に自分は何も出来ないダメ人間・・・と一気にマイナス評価にしてしまいがちです(0か100かの両極端)。Sさんが書かれている今の不安や失敗への恐怖というものも、こうした完全欲から生じているものと思われます。思い切って仕事を辞めることを考えたのも、極端な捉え方の現れでしょう。

ではどうしたらよいのでしょうか。迷ったときこそ、原点に立ち返ることが重要なのだろうと思います。ここまで頑張ってきたのはSさんが自分なりに納得する仕事をしたかったからでしょう。しかしながら、いつの間にか周囲の評価や期待というものに翻弄され、自分のペースや自分自身を見失ってバランスを崩してしまったのだろうと思います。つまり自分自身の本当の気持ちや体感(疲労感など)が二の次になってしまったということでしょう。

奇しくも一呼吸を入れることになった今、もう一度自分は何を望んでいるのか、どんな人生を求めているのか・・・を考えてみても良いかもしれません。大きな目標を掲げるのではなく、のんびり過ごしたいとか、映画を見たいとか、近所を散歩してみたいとか・・・小さなことで良いのです。自分の心に問いかけてみて、そうした自分の「〜したい」という気持ちを実行することに重きを置いたらどうでしょうか。誰かのための人生ではなく、自分のための人生です。自分をまず大事にすることで、今の焦りや周囲への恐怖ももう少しやり過ごすことが出来るようになると思います。
(久保田幹子)

「治療を行えば回復への道筋が見えてきます」 '18.1 

Gさんは2週間前から死ぬことについて考えてしまうとのこと、辛い状況ですね。死にたい気持ち、食欲不振、睡眠障害を合わせますと抑うつ状態である可能性が高いです。精神科のある病院・クリニックに行くことをお勧めします。森田療法はうつにも適応となりますが、ある程度回復してからとなります。まずは専門医を受診し、休養・薬物療法など医師の指示に従い治療を受けてください。

ある程度回復したら森田療法を生活に生かしていけます。あるテレビを見たことがきっかけとのことですが、原因は一つとは限りません。〜すべきにとらわれていなかったか、仕事で無理をしていなかったか、周囲の人にヘルプを出せていたか、親しい友人で相談できる人はいたか、仕事以外の楽しみもあったかなどを振り返りながら、回復に向けて、また再発予防に取り組んでいきます。高校時代にも同じような状態になったとのことですから、どのような時に調子を崩しやすいかを知っておくことも再発予防につながります。

今回、「告白することで少しでも楽になるのでは」という思いで勇気を振り絞ってメッセージを送って頂きました。本当に良かったと思います。実際、抑うつ状態になると人に助けを求めるという力も失くしてしまい、一人で悶々と悩まれている方も多いのです。他の人に助けを求めれば、自分の考えうること以外の方法が導き出されることがあります。一人で悩まず専門家をはじめ親しい人に相談してみましょう。
(大久保菜奈子)

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