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症状別アドバイス集

普通神経症の部屋

「痛みの意味するところ」 '19.3 

こんにちは、Jさん。C型肝炎の罹患やインターフェロンの過酷な治療などは、どれもJさんに多大な苦痛を与えたのではないかと感じます。ましてや、発熱や筋肉痛などの副作用をもたらす、インターフェロンの治療の苦痛は、私の想像を遥かにこえるものであったでしょう。一般的に強い痛みは、しばしば私たちの脳裏に焼き付け、ことあるごとに「またあの痛みに襲われたらどうしよう」などと予期不安を、呼び起こすものです。
そして、このような心理的文脈が、Jさんの体の痛みや違和感に対する極度のとらわれを作り出したのだと思います。

当然、前立腺癌に対して行われたホルモン療法も、痛みに対する直接的原因であることに変わりはありません。しかし、前立腺癌が見つかった時点でインターフェロンによる体部の痛みが消失したという事実は、痛みに纏わる不安の矛先がインターフェロンから前立腺癌にシフトしたことを物語っていると言えます。

このような痛みに対して、我々はどう対応したらよいでしょうか? 鎮痛剤などの類はJさんの痛みの軽減には一石を投じるでしょう。しかし、そのことで痛みの軽減に至ったとしても、痛みに纏わる不安から作り出されたとらわれから、回復できる訳ではありません。この場合、次のように痛みを捉え直していくことが重要だと、私は考えます。

一つは、痛みの意味を、あってはならないものという考えから、自身の体が治療で悲鳴をあげている警告反応であると捉え直すことです。インターフェロンやホルモン療法然り、体にとってある意味特殊な状態であることに変わりありません。痛みは、体全体を労わるようにと私たちに教えてくれているのです。

二つ目は、痛みによって引き起こされた不安の裏にある、「こんな私でも健康で生きたい」という欲求を大切にしながら、実生活に少しでも生かせるよう心がけることです。

勿論、このような転換はそう簡単なことではありません。しかし、痛みが得てして、体に過度の緊張を与えていることを鑑みれば、体を温めたり、ストレッチで筋肉を弛緩させたりするなどの手の届く取り組みは、体を労わるだけでなく、健康に纏わる欲求を建設的に生かすことに他なりません。そして、このような試行錯誤が進む中で、Jさんには是非気持ち良い、楽しいなどと感じる体験を大切にしていただければと思います。というのも、私たちが症状を抱えながら生きる上で、このような体験が多くの皆さんを幸せに導くと考えるからです。今は痛みの中で、苦労が絶えないと思いますが、Jさんに新たな心の転換が起こる事を心よりお祈りしています。
(樋之口潤一郎)

「身体の病気を契機とした不安」 '19.2 

Tさんは、「以前から体の不調が続いていましたが、2か月前に原因が確定し、先月手術をしました。その後は体調の変化が気になりだした上に、仕事や生活、将来のことで不安感が強くなり、どうしようもない毎日」と書き込まれています。

体の手術という大変な経験をされたのですね。手術の後は、たとえ経過が良くても、以前とは違う体調の変化を感じられると思います。 そして、変化というのは、それだけで不安を呼ぶものですね。これまであまり意識しなかった身体の状態のことにも意識が向きやすくなっていることでしょう。

そして「こんな状態の自分でやっていけるのだろうか」という気持ちから、仕事や生活、将来のことまで不安が広がっているご様子。日々体調を気にして体の状態をチェックしていると、体調も実は日々一定ではないため、体の生理的な変化も拾ったり、感覚も敏感になり「これは病気の悪化ではないか」と考えてしまったり、悪循環に陥ることがままあります。

仕事や将来のことにも不安に感じるようになったとのこと。具体的な生活上の不安に関しては周囲の人や専門家―体の主治医の先生や看護師さん、ソーシャルワーカーさんその他の人―と相談することで解決できることもあるかもしれません。そのとき、抽象的に考えるのでなく、できるだけ具体的に考えていく、というのも森田の知恵です。具体的に対処していくことと、不安だけれど今は置いておくことを分けていきましょう。

また、「回復」を「元の通りに戻ること」に位置付けないことも大切です。 以前とは異なる、今の身体とつきあいながら、「今の自分で」「その日にできること」に少しずつ手を付けていきましょう。 そして、せっかく体の不調の原因がわかって手術という治療を受けることができたのだ、ということもまた事実ですね。その事実も大切にされてください。
(塩路理恵子)

「頑張りすぎぬように」 '19.1 

K様、パニックと不眠の再発で当初さぞかしお辛かったですね。だいぶ他の方からのご意見もあり終結しているようにも見えましたが専門医としての追加コメントをさせて頂きますね。

一般的にパニック発作や不眠症など神経症の症状が再発する時にはライフサイクルの変化を代表とする「きっかけ」「誘因」があります。ただ「きっかけ」「誘因」だけでは症状は再発しませんが、元来持っている神経質な性格を基盤に「きっかけ」「誘因」が重なり、そこで「こうあらなければならない」「きちんとしなければ」との「構え」が強まり、再発するパターンが多いと思います。

K様は「子供の体調が悪いとき、看病が重なった」時にパニック発作が起こるのですね。つい子供のことを心配すると子を思う気持ちが強いがために無理しがちですよね。ここで「自分はここで頑張らねば」との構えが強くなり「頑張りすぎ」ではないでしょうか、、。ご自身でこまめに休みを取っていると振り返られていますね。具体的にどのくらい休みを取られているかはわかりませんが、ご自身がもし完璧主義であるならさらに休みをいれていくようにしても良いかもしれませんね。

あと、参考までにパニック障害とカフェインについて一般的に言われていることを付け加えますね。パニック障害を持つ人はコーヒーを好む人が少ないです。それはパニック障害の患者さんはカフェインに過敏だからです。貝谷先生の調査ではコーヒーを飲んだ後にパニック発作または不安感や不快な症状を訴えた人が2割弱ありました。米国の研究では、コーヒーを五杯飲めばパニック障害の患者さんの7割はパニック発作またはそれに類似した不安状態が起きると言われています。パニック障害患者には今までにコーヒーを飲んで不安感や動悸を経験した人は以後コーヒーを止めたほうがよいでしょう。どうしてもコーヒーの味と香りを楽しみたい人はカフェインレスのインスタントコーヒーを試してみて下さいと貝谷先生は勧めていますので参考にされて下さい。

また最近の海外の研究によれば、喫煙はパニック障害の発症の引き金となるだけでなく、症状を悪化させ、病気の予後にも悪い影響を与えることがわかってきています。ヘビースモーカーの方もご注意下さい。
(舘野歩)

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