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症状別アドバイス集

普通神経症の部屋

「死を恐れるのは生きたいためである」 '18.2 

Hさんは、もともと心配性であったのが、お子さんを出産されてから病気が非常に怖くなり、実際毎日身体のどこかしらに痛みや違和感があるとのことでした。それゆえ、症状をインターネットで一日中調べ、悪い病気と繋げては落ち込んでしまう毎日に悩んでいると書き込まれています。

出産後にこうした悩みが強くなっているのは、お子さんのためにも自分がここで病気になったら大変・・・という気持ちがあるからではないでしょうか。つまり、母親としてしっかりしなくては、健康でいなければ・・・という気持ちが強くなった分、「万が一・・・」と心配がつのっているのかもしれませんね。心配になると、どうしても意識は体調の変化に注意が向いてしまいます。おそらくHさんの場合も、朝起きた瞬間から体調をチェックし始めて、逆に体調の些細な変化に敏感になってしまい、ますます違和感を強めてしまっているのではないでしょうか。森田はこうした注意と感覚がお互いに強め合ってしまうことを精神交互作用と呼んでいます。まさに不安ゆえに一層体調不良を探し出し、かつそれを強めてしまうというわけですね。

ではどうしたらいいでしょうか。森田は「死は恐ろしい。恐れまいとしても無理である」「少年時代から四十歳頃までは、死を恐れないように思う工夫をずいぶんとやってきたけれども、『死は恐れざるを得ず』ということを明らかに知って後は、そのようなむだ骨折りをやめてしまったのであります」と述べています。ではどうして私達は死ぬことが怖いのでしょうか。森田は「死を恐れるのは、生きたいためである」と答えています。生きたい、健康に過ごしたいという欲求があるからこそ、死はとてつもなく恐ろしいものになってしまうのです。とはいえ、私達の命には限りがあるものです。だからこそ、1回きりの人生をどのように生きるのかが重要になってくるということでしょう。

Hさんの場合も、母親になり、大事なお子さんを授かったからこそ、これまで以上に健康でありたい、病気が怖いという意識が強まったのだと思います。では病気にならないためにはどうしたらいいのでしょう。残念ながらこの問いに対する『絶対、確実』な答えはありません。規則正しく、バランスの良い栄養を取って、適度に運動をして・・・という心がけが出来るくらいでしょう。折角大事なお子さんを授かったにもかかわらず、大方の時間を病気の不安とそれを払拭するためのネット検索に費やしてしまったら、お子さんと心を通わせ、触れ合う時間はなくなってしまいますよね。

お子さんを大切に思う気持ちを、「今しかない」お子さんとの時間に活かしてあげることが大事なのではないでしょうか。不安材料を探してばかりでは自分でストレスを生み出すことになってしまいます。お子さんのために出来ることを実行し、共に笑い合い、ご家族と共に子供の成長を喜ぶことこそが、Hさん自身の心身の健康に最も効果的だと思います。
(久保田幹子)

「過敏性症候群〜診断は同じでも病状によって対応は異なります〜」 '18.1 

今回はお二人の方が過敏性腸症候群での悩みを挙げられていたので、それについて取り上げます。同じ診断でも病状によって対応は異なります。

まずはMさんですが、かなり大変な状況ですね。体調不良に加え、子育て・お父さまの看病などに追われていらっしゃいます。過敏性腸症候群だけでなく、体の痛みも出ており、さらに気持ちも落ち込んでいるということですね。過敏性腸症候群は自律神経の失調症状ですが、このような症状が長引くとうつ状態に至ることがあります。Mさんの場合、うつ状態かどうかはわかりませんが、まずは負担を軽減したほうが良いでしょう。ご主人といると落ち着くという事ですので、ご主人と共にお子さんの子育て、お父様の看病について負担が軽減できないか考えてみてはどうでしょうか。家族の中で負担軽減が難しい場合は役所での福祉サービスなどが利用できるかもしれませんので、お二人で相談に行かれるのもよいかと思います。主治医にも眠れないことや気持ちの落ち込みについて伝えてみましょう。

落ち込みが多少改善してきましたら、森田療法を生活に活かしていけます。お腹の不調、身体の痛みがありながらもやりたいことがあるだろうか、など自分の中の「〜したい」を大切に感じてください。Mさんはとても真面目な方なので今はおそらく人のために生きていらっしゃいますが、自分のための時間も大切にしてください。自分を大切にすることが、家族にとっての喜びにもつながります。やりたいことを実現できていくと、「不快なものを取り除きたい」生活から「楽しいことを行う」生活に変わっていくでしょう。

もう一人はSさん、高校生ですね。「おならが気になる」、これは思春期の方で悩まれている方が多い症状で同じく過敏性腸症候群の一つの型です。 一般的に静かな状況になると「おならをしてはならない」という気持ちになる →おならをしないため精一杯努力するようになる →それにより注意が集中して益々おならが出ないか気になる →緊張するとお腹の動きが活発になり、おならが出やすい状況になる(自然な現象です) 上のような状況はまさに森田療法の「注意の集中と身体症状の悪循環」ですね。まずおならが出るとどうなってしまうのが心配かを自分に問いかけます。おそらく「周囲の人に迷惑をかけないか」「自分が嫌われるのではないか」という心配・恐怖が背景にあるかと思います。しかしその恐怖の裏には必ず「生の欲望」があります。「人と仲良くしたい」「人に好かれたい」などの気持ちがあるからこそ、症状を気にするのです。「人と仲良くしたい」気持ちは失くせないため、症状が気にしないのは難しいでしょう。気になりながらも、目の前の行動を避けないことがポイントです。おならは自然な生体反応なので、コントロールすることはできません。おならを鳴らしながら自分のやりたいことを避けずにやっていってください。
(大久保菜奈子)

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