Tさんは、幼少期から神経質で、周りの雰囲気などを敏感に感じ体調を崩されるといった悩みを抱え過ごされてきたのですね。一方で、活動的に様々なことを経験しつつ、目標に向かって頑張ってきたというTさんもいるようです。波はありながらも、今は楽しく研究に取り組めているのですね。本当に素晴らしいことだと思います。こうした経験を振り返りTさん自身、森田神経質の特徴に当てはまると考えていらっしゃるようです。森田神経質とは、自己内省的で敏感、心配性でくよくよしやすいといった一見すると弱気な要素と同時に、完全主義で負けず嫌いといった強気な要素を併せ持つ性格のことをいいます。まさにTさんは、敏感なところと同時に発展向上欲を併せ持っているのでしょう。そのようなTさんは、未来が不安になる性格を鬱陶しく感じてしまうようです。
確かに、目的に向かおうとする時に、ご自身の不安になりやすい性格を鬱陶しく思うのも自然なことかもしれません。しかし、この神経質性格は、決して悪い性格ではないのです。神経質の活かしどころを理解して必要なところで神経質になれればそれは長所となる、と考えられているのが森田神経質の特徴でもあります。
例えば、飛行機の整備士は、機体に不具合がないかと非常に神経を使うでしょう。もし少しでも不具合があればそれは大きな事故に直結するわけですから、敏感にならざるを得ません。安全運航を目的に、その神経質を活かしているからこそ、私たちは安全な空の旅が出来るわけです。大事なのは、神経質をいかに活かすか。それは、Tさんの日常でも言えるのではないでしょうか。現在、研究に取り組んでいらっしゃるTさん。研究では、きっと敏感さと緻密さが求められることでしょう。とするならば、きっとその神経質は大いに役立ち、Tさんの成長に一役買ってくれるはずです。そこに完全主義や発展向上欲といった要素が合わされば鬼に金棒ですね。未来を不安に思うのは、それだけ自分の人生をよりよいものにしていきたいという欲求があるからです。その欲求に従って、ご自身の敏感な要素を排除するのではなく、活かしていくためのアイテムとして付き合えば、能力が磨かれご自身の良さが発揮されていくはずです。応援しております。
(渡辺志保)