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症状別アドバイス集

強迫神経症の部屋

「神経質のなりどころ」 '18.4 

Oさん、人の言葉の意味がわからないことや仕事上でのことでお辛そうですね。しかし文面を見る限りではありますが、Oさんは能力的に「聞き取る力」がない、あるいは「仕事ができな」のではないと思います。

Oさんの二つ目の投稿で「プライベートでは良い」というところがヒントではと感じます。つまり、「人の話を全て聞き取らなければならない」といった理想主義や、「自信のなさから完璧主義を仕事で目指してしまい、本来仕事で必要なこと以外に注意が向いている」ことが原因ではないかとお察しします。

森田療法の創設者・森田正馬先生は、「神経質のなりどころ」を指導され、「神経衰弱と強迫観念の根治法」の中で「神経質の長所と短所」を挙げています。そこでは「神経質の素質による長所は、種々あげることができるけれども、これにとらわれて病的となるときは、これがことごとくその短所となって現れるのである。(中略)神経質の自己内省が強いということは『人を知るは智なり、自ら知るは明なり』というように、(中略)はじめて良知となることができる。(中略)神経質のただわれ独り苦しいという心持ちは、ひとたびその心境を転回して、自己の素質の長所に覚醒したときに、これが唯我独尊となるのである。この心は、すなわち人を恨み、自分をかこつ卑屈の心ではない。自己の全力を発揮し、人をあわれみ、周囲を済度する力である。」と述べています。ご自身で、「本当にそのとき何が大事か」をもう一度振り返ってみてください。人の話を聞く際には、「一字一句の言葉でなく、ざっと何が言いたいかの要点をつかむようにする」ことではないでしょうか。仕事では「7割」に「とらわれず」、仕事上で何が「幹」で何が「枝」かを分別することが大事でしょう。今は「言葉」や「仕事のミス」へ「神経質」傾向が向いているので、そのエネルギーを先ほど書いたような「建設的な方向」へ転換していけばよいと思います。
(舘野歩)

「人に認められたいという気持ちをどう生かすか」 '18.3 

Lさんは中学1年生に無視されたことをきっかけに人間不信に陥りとても辛い状況とお察し致します。

人はなぜ友を求めるのでしょう?人間は本質的に承認欲求を持っているものです。誰かに認めてもらいたい、自分の考えをわかってもらいたいという気持ちです。世の中さまざまな人がいるもので、まったく人に興味を持たず、一人がよいという人も中にはいます。そのような方の場合は、Lさんのような悩みは生まれないでしょう。Lさんの中に、“自分は変な人だと思われているのではないか”、“友人が他の人と楽しそうに話しているのを見ると嫉妬する”といった気持ちがあるということは、“人に好かれたい”、“認められたい”といった生の欲求の裏返しなのかもしれません。そういった生の欲求をLさんが持っていることはすばらしいことです。しかしその気持ちが過剰に働く時、不安や絶望が襲うのでしょう。

また、「こいつは仲間、こいつは敵」という感覚もとても辛いものと思います。ありふれたアドバイスかもしれませんが、仲の良い友人は一人いればそれで十分です。多くの大人も心を許せる友人は一人や二人だったりします。敵が多くても今はよいでしょう。その一人の友人もLさんと同じような悩みを持っているかもしれませんし、その時は相談に乗ってあげてください。お互い支え合える関係になれるといいですね。

しかし、人間は最終的には孤独な存在でもあります。孤独でありながらも、大学に行っている本当の目標、今やるべきことにしっかり目を向けましょう。Lさんは繊細でありながらも、人一倍頑張り屋さんであると思います。是非学生の本業でその力を発揮してください。そのうち、気づいたら自然と仲間が増えていくでしょう。これからのご活躍を願っています。
(鈴木優一)

「感情は自然なものとしてあるがままに。そこでどう振る舞うかを工夫する」 '18.2 

Mさんは、怒りや悲しみに対する付き合い方に悩んでおられるようです。接客バイトで良く先輩に怒られ落ち込んでしまうので、解決策として言われたことの受け止め方を変えようとしたものの上手くいかなかったとのことでした。そこで森田療法に出会い、「悲しみをあるがままにしておくこと」を心がけていたものの、ある日悲しみと怒りが爆発してしまった、長期的な怒りはあるがままに出来ないのではないかと書かれています。

私達人間は、感情の動物とも言われているように、喜怒哀楽があります。それは好む好まざるにかかわらず、自然に生じるものです。怒られて落ち込む解決策として、言われたことの受け止め方を変えようとしたとのことですが、考え方を変えるのも頭だけの理解だと行き詰ってしまうかもしれませんね。その後は「あるがまま」を心がけていたようですが、森田の言う「あるがまま」は心がけると案外ずれてしまいがちです。実際森田は「あるがままになろうとしては、既にあるがままではない」と述べており、「夏が来れば暑い、それなら暑いと思っていればよいか、と問うてはいけない。思わなくとも暑いからそのままでよろしい。夏は暑い、嫌なことは気になる、不安は苦しい、雪は白い、夜は暗い、なんとも仕方がない。それが事実であるから、どうとも考え方を工夫する余地はない」とも言っています。つまり、Mさんの場合であれば、怒られて悲しいと思うのは仕方がないことであり、そう感じている事実をそのまま受けとめるということなのですが、それだけだと苦しくもなってしまいますよね。そこで同時に森田が促しているのは、本来の欲求にもあるがままに従うということです。怒られて悲しいのは、本当は認めてもらいたい、仕事をきちんとこなしたいという気持ちがあるからこそでしょう。一生懸命やっているつもりなのに、いつも上手くいかない。そうした自分に対する落胆や、怒られて傷つく気持ちが悲しさや苛立ちに繋がるのでしょう。そうであるならば、悲しさはそのまま受けとめつつ、同じ悲しみを味わいたくないからこそどうするかといった工夫が大事になってくるのです。その際には悲しみの裏側にある本来の欲求が足がかりになるでしょう。

Mさんは、先輩の指示やお客様の言っていることが理解できず怒られてしまうということでしたが、理解できないことを理解するにはどうしたら良いでしょう。先輩が怒りっぽいようであれば、周囲の他のバイト仲間に聞いてみたり、店長などに相談をしてみると何か上手くいかない理由が見えてくるかもしれません。他のバイト仲間のやり方を観察して真似てみるのも良いかもしれません。これまでにたまった怒りも、単に気持ちだけを受け止めようとするならば忍耐になってしまいます。怒りは怒りとして自分で認め、じゃあどうするか?と試行錯誤をするならば、怒りは自分の成長のためのパワーになるはずです。その中で少しずつ自分の何が足りなかったのか、何は出来ていたのかを知ることで、これまで溜まっていた怒りもいつのまにか流れていく(昇華されていく)のではないでしょうか。
(久保田幹子)

「どんな感情も自分の感情としてあるもの、オープンにしましょう」 '18.1 

Sさんは、13年加害恐怖に苦しんできたとのこと、本当に大変でしたね。「子どもを殺したいと思ってしまった」とのことでご自身のことが怖くなられたのですね。外来で小さいお子さんをお持ちの方たちの話を聞くと、「殺したいと思ってしまった」という話はよく聞きます。Sだけではなく、子育てはそれほど負担がかかるものなのです。さらに、下のお子さんを出産した直後のことですので、ホルモンのバランスの影響も考えられます。「産後うつ」という言葉を聞かれたことがあるかもしれませんが、女性は出産によってホルモンのバランスが激変します。それにより抑うつ状態を引き起こしやすくなるのです。抑うつ状態まではいかなくても、出産直後のイライラ感はホルモンバランスの変化によるものの影響が少なからずあると思います。

さて、このような加害恐怖にどのように対応していくかです。Sさんのメッセージを読みますと、加害恐怖が起こった瞬間、友達に電話をかけたと書かれています。親しいお友達なのだと思います。そういった親しい友達に、「子どもを殺したいと思ってしまった」ことなどをオープンに話してみるのもよいでしょう。お子さんを持っている友達であれば、「私もそう思った」など同じような体験をしていることに気付くはずです。そして「殺したいと思ってしまった」という気持ちを事実として受け止めるのです。感情はコントロールできないですし、あってよいのです。さらに、Sさんは子どもを殺したいとまで思うほど大変な子育てを、加害恐怖と付き合いながら自らの力で乗り越えてきたのです。「よくここまできたな」と自分を褒めて下さい。

今も「いつか人を殺すのではないか」との雑念を抱いていらっしゃるようですが、特に対処する必要はありません。「自分はこういう感情を持っているけどそれは自然なものだ」「人を大切に思うからこそ殺してはいけないと思ってしまうんだ」と思い、流れていくのを待ちましょう。ゆったりと流れる川のように恐ろしいイメージもゆっくりと流れていくのです。そして見方を変えると加害恐怖にはSさんの人を愛する気持ちが詰まっている気がします。加害恐怖を「本当は良い人だけど表現が不器用で急に現れる友達のようなもの」と考えてはどうでしょうか。

ヨガなど身体を動かすことはとても良いと思います。ヨガは「今ここで」に集中できますし、自分の身体を大切にしていこう、さらに自分の心も大切にしていこうという気持ちにつながります。このように行動は続けていってください。
(大久保菜奈子)

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