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症状別アドバイス集

その他の部屋

「当てにしないことも大切」 '19.3 

こんにちは、Fさん。長年に渡る夫に纏わる苦労、そして母親の無理解など、これらはFさんを時に絶望の淵に追い込み、大きな苦しみを与えたのではないかと察します。心の中は消化されない蟠りでまだまだ覆われているのだと思います。確かに、このような状態に対して、抗うつ剤などの内服はある程度奏功するかもしれませんが、これは根本的解決ではありません。何故ならFさんの問題の本質は、「今後どうやって生きていくか」という生き方を巡る悩みだからです。

そんな中、旦那さんと別居されたことは、Fさんが一歩を歩み始めた証でもあります。このことは、夫の様々な行動に耐えられなかったというFさんが、自分の思いを生かした体験に他なりません。もしかすると、Fさんは今まで家族の思いを優先するあまり、自分の思いを押し込めてきたのでしょう。このような努力は、一見すると家族に表面的な安定をもたらしたかもしれませんが、結果的にFさんに欲求不満という代償を作り出してきたのだと思います。

一般的に、このような我慢が続くと、人は皆、その苦しさの余り、辛い気持ちを察してほしいという思いを募らせます。しかし、得てして周囲はその思いをくみ取ることなく時が過ぎてしまうものです。その結果、周囲が状況をくみ取ってくれないことに、多くの方が無力感を募らせていくことになります。

さらに、このような状態が持続することで、誰しも周囲の無理解に対して恨みがましくなっていきます。勿論、このこともまた人として自然なことであり責められるべきものではありません。けれども、一方で周囲に自分の苦しみを理解してもらおうと過度に期待しないことも大切です。親であっても、所詮他人であり最終的には分かち合えないのです。むしろ、この大前提にたって、Fさんは自身の人生を再び歩み始める覚悟が必要です。

このような転換はFさんに「果たして自分でやっていけるか」という不安を与えるため、当初は中々一歩を踏み出せないかもしれません。ただその場合、「何となく〜したい」という感覚を一つの拠り所にしながら、一歩を踏み出す契機にしていただければと思います。そして、考えるだけでは、人は必ず誰かしら責め続け自分の手で不幸にしてしまうものです。どんな小さなことであっても、体験の積み重ねが人の心を豊かにさせてくれることを心がけながら進んでいただければと思います。

今はまだ苦しみの渦中でしょうが、Fさんの今後の発展を祈念しております。
(樋之口潤一郎)

「異なる文化の中での生活と森田療法」 '19.2 

Jさんは、日本で働いている外国人の方で5,6年前から3度の休職をはさみながらなんとか働いてきたことを書き込まれています。

海外の方にも森田療法に関心を持っていただけることを嬉しく思うとともに、不安が人が生きる上で自然なものであること、そして不安の裏に「よりよく生きたい」という望みがあることは、普遍的なことなのだと改めて感じました。

さて、異なる文化の中で生活する上で生じるストレスを「異文化ストレス」といいます。
「異文化ストレス」には、
・異なる文化、異なる言語の中での葛藤や混乱
・異なる習慣や生活様式からくる不適応
・対人コミュニケーションにおける葛藤
・コミュニケーション不足による職場でのトラブル
・経済的な悩み
・家族に関する悩み
などがあると言われています。また、働く人の場合は、対人関係や生活の範囲が日本人よりも狭くなりがちであり、職場以外のコミュニティが少なくなりがちなため、職場の占める意味あいが大きくなり、職場がメンタルヘルスに与える影響が大きくなることも言われています。

Jさんも、生活の中で仕事の占める割合がとても高かったのではないでしょうか。 Jさんは「今思えばいい人と思われたい、仕事がそこそこできる外国人でありたい気持ちが強く、仕事を断れない、その仕事を一人で悩み人との関係がうまくいかなかったこと」なども振り返っておられます。とても大切な気づきですね。

いい人と思われたい、認められたいというのは、外国で仕事をする上で大切なエネルギーとなっていたことでしょう。けれどもそれが「いい人と思われなければならない」という「かくあるべし」になってしまうと、仕事を断れなくなってしまったり、悩みを抱え込んでしまい、苦しい状況になってしまいますね。なかなか助けを求められない、苦しい追い詰められたお気持ちだったことと拝察します。

異文化の中では、相手の振る舞いにも敏感になり、「ネガティブな意味があるのでは」と感じ取ってしまい、ますます敏感になる、という悪循環も起こります。 まずは、ご自身の苦しみの裏に「良い自分でありたい」という願いがあるということを認めてみてください。そして、「かくあるべし」をゆるめて、仕事で困っていること、つらいと思っていることを、誰かに話してみましょう。すぐに解決がみつからなくても、悩みを共有してもらうことで、がんじがらめの状況が緩むことがあります。

そして仕事以外の何かを持つことも、生活の中で仕事に強く焦点が当たっていることを緩めるのに、役に立つことでしょう。(うつの具合が悪い時には新しいことは控えた方がいい場合もあるので、主治医の先生とも活動の仕方はよくご相談ください)大きなことでなくても、例えばご家族と出かけてみるなどでもいいかもしれません。 相談できる場や話ができる場所がいろいろあるといいですね。 治療を受けられているようであれば、主治医の先生や病院のスタッフにもよくご相談されてください。
(塩路理恵子)

「うつの状態に応じた対応」 '19.1 

K様うつで苦しんでおられますね。ご自身のご経験と重なるかもしれませんがうつの状態に応じた森田療法を活かした対応を述べますね。

うつ病の米国DSM5診断基準を照らすと、(1)抑うつ気分(憂鬱な気持ち)、または(2)興味または喜びの喪失のうち少なくとも一つは存在し、(3)体重の変化、(4)ほとんど毎日の不眠か過眠、(5)ほとんど毎日のいらいらまたは行動の抑制がかかる、(6)ほとんど毎日の疲労感、(7)集中力の低下、(8)死にたい気持ち、のうち5つが同じ二週間に存在していることが基準になっています。これを満たすようであれば、うつ状態からくる否定的な思考があるのではないかと思います。これを満たすようであればきちんと抗うつ薬を使用し無理をしない方が良いでしょう。

回復の過程は個人差がありますが、以上の症状が少しずつ階段を上がるように回復していきます。我々は患者さんに「今どのくらいの回復度合いですか」と訪ね、%で表現してもらうようにしています。症状がでそろっているいわゆる「極期の過ごし方」は、「果報は寝て待て」が大事になります。簡単に言うと家でごろごろしていて良いわけです。30%前後から50%くらい、「回復前期」の時は、「毎日の中での変動が目立つ」のですが「どん底を過ぎれば必ず回復が訪れる」と思っていて下さい。

この時期は「疲労感」を主な基準として、疲労感が強い時は休息し、軽い時は手をつけやすいところから手をつけていきましょう。これが「臨機応変」という対応です。また「感じから出発する」のが大事です。何かしたい気持ちがあればそれを少しずつ行動に移して疲れたらまた休んで良い訳です。本来の状態の60〜70%くらいまで回復してきたら、生活リズムを規則正しくして生活を整えて行く、「外相を整える」ことが大事になってきます。また、今までの自分の生き方を見直す時期でもあります。「かくあるべし」といった思考にとらわれず現状の中で出来ることをしていくことが大事になります。

このようにうつの状態、%に応じた養生をしていって頂けると幸いです。
(舘野歩)

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