スマートフォン専用サイトはこちらをタップ

症状別アドバイス集

その他の部屋

「身体症状のある自分になりきる」 '19.6 

Mさんはフリーターであることを気にしていますが、症状を持ちながらも今できることをされており、素晴らしいと思います。

最近は「心臓をチクっと刺されるようにドキッとする」「発作的に体が辛くなる」ことがあるようですね。救急車で運ばれたとのことなのでその時はかなり強い不安を覚えられたことだと思います。

森田先生は「心悸亢進でも自ら進んで心悸亢進を起こそうとすれば発作は起こらない」と言っています。つまり、起こったらどうしよう、起こってはならないと思うからこそ注意が集中し、症状が強まるという悪循環があるので、症状をなくそうとしない姿勢になれば症状が起ききにくくなるという事です。森田先生は心悸亢進だけでなく不眠についても同様に伝えていました。「どのように眠れなかったか報告しなさい」と言うことで不眠を治していました。

また森田療法では「なりきる」という言葉をよく使いますが、身体症状のある自分であっても「自分になりきる」で進んで行けばよいのです。身体症状がある完ぺきではない自分になりきることにより、そのままの自分からスタートするという事になります。身体的には異常がなく、Mさんは倒れたとしてもまた起き上がることができる回復力をお持ちです。この回復力があれば進んでいけます。

また仕事についてですが、日々働いているとどうしても「生きるために働いているだけで仕方ない」という気持ちになりがちです。しかし同じ働くなら少しでも楽しく働けないかと考えてみると良いと思います。

少しでも工夫できることがあるか、仕事で楽しい瞬間があるか問いかけてみて下さい。仕事自体に面白さが見出されると症状を忘れる瞬間が出てくるかもしれませんね。
(大久保菜奈)

「専門機関にかかるかどうか」 '19.5 

Sさんは恋人との別れの危機を契機に自分が神経質であることに気づき、自分の神経質が深刻化して様々な人に迷惑をかけることを考えると怖くなったとのことです。専門機関に行くか体験フォーラムのいろいろな方のお話を聞いて決めたいと書かれています。

神経質は屁理屈や頑固さが強固に出た場合、家族や周りをへきえきとさせてしまうことがあります。しかし、神経質をうまく活かせない場合に一番損をするのはやはり本人ですよね。思いが深まっていくと、自分をよりさらけ出して付き合うことになるわけですから、恋愛を通して気づくことはたくさんありますし、いい思いも嫌な思いも強烈なかたちで来ます。同じことを繰り返したくない思いから、危機の後にしっかり自分を「変えておこう」と思うのは物事を鋭く感じ、反省心が強く、物事を万全に整えておこうとする神経質の人ではより起こりやすい心の動きかもしれません。

もちろん専門機関に行くのもいいですが、Sさんは心許せる友達やこの人ならと思うような自分の周りの人に今回のことや自分の性格について話をされていますか?弱みを見せることや相手に迷惑をかけては良くないといった気持ちが強いと、ついつい自分の真なる悩みについて身近な人に語ることを避けてしまうこともあるかもしれません。

まずは自分のコミュニティの中の安心できる人に話をしたり、その中で解決できない問題に突き当たった時に専門家への相談を模索するのでもよいのかと思います。身近にいるからこそSさんについて感じている率直な気持ちを話してくれる人や、Sさんと似たような体験をしている人もいるかもしれません。

そして、いくら神経質が時に面倒を引き起こすと言っても、すべての非が神経質者にあるわけではありません。自己反省が強まると、自分の変えるべきところが多く、相手の非は極めて少ない(時にはまるでない)ように思えるときもあるかもしれませんが、実際には相互作用です。別れの危機によって自分と相手の反応を振り返ることができるSさんはただ独りよがりで一方的に周りをへきえきとさせてしまう人とは違うのではないかと思います。

友人に相談する場合でも専門家に相談される場合でも、その相互作用のありようを見ていけると、より役立つ自己・他者理解が広がっていくのではないかと思います。
(矢野勝治)

「何度言っても変わらないのならば、伝え方を変えてみる」 '19.4 

Mさんはお子さん(5歳の男の子)が言うことを聞かず、注意するとずっといじけてしまい会話にならない事を悩んでいらっしゃいます。また、そのお子さんがもともと話を聞けないという事もあり、発達障害の心配もされているようです。その中で、ご自分も内向的で自信がなくて、この先子供を育てて行けるのか不安に感じられ、ご自身が不安障害や、対人恐怖症な所がある事も気づかれたようです。

まずは、お子さんが本当に発達障害かもしれない、と思われるのであれば、まずは医療機関にご相談してみるのも一つの手です。

ただ、そもそも子育てはとても難しく大変ですよね。子育てに答えはないですし、「ちゃんと子育てできるのかな」と親なら誰しも不安になるものです。Mさんのお子さんは5歳ということですが、イヤイヤ期や反抗期が終ったら、言うこと聞いてくれるのかなと思いきや、現実はそうではなく、だんだん自我が芽生えて、自己主張が激しくなったり、わがままで頑固になったりしてきますよね。本当にお疲れ様です。

子供を思う親としては自分の子供を「ちゃんとしつけなくてはいけない」と感じますよね。ただ、これが強すぎると親の「子育てはこうしなくてはいけない」という「かくあるべし」とも言えます。この「かくあるべし」にお子さんを当てはめようとすると親子共々苦しくなってきます。

実際、5歳の男の子は、朝から晩までずっと、親が言わないとやるべきことをしていないものです。親が「こうでなくてはならない」と思うと、ついつい口調も強くなって、「着替えなさい」「食べなさい」「寝なさい」などなど沢山の「〜しなさい」をお子さんに言ってしまいますよね。言わないと動かないから言ってしまうのだと思いますが、実際は言っても動かないですよね。ただ、5〜6歳になれば、ある程度親が口うるさくすればするほど、お子さんは向き合わずにいじけたり、聞き流す能力を身につけたりしていきます。ですから、少しだけ、伝え方を工夫してみてはいかがでしょうか。

「早く食べなさい」から、「あれ?このままだと幼稚園に間に合わなくなっちゃうよ」とか、「お風呂に早く入りなさい」から「お風呂が空いたから入ってね」などです。例えばそれでもお風呂に入らなかったら、なんなら今日のお風呂は諦めちゃってもいいかもしれません。そのくらい「親のかくあるべし」が緩むと、親も楽になりますし、お子さんも実際にお風呂に入らなくて、気持ち悪いな、と感じて自ら入るようになるかもしれません。失敗から学ぶことも沢山ありますね。このように、同じように何度も注意してお子さんが変わらなければ、親の対応や伝え方を工夫してみてはいかがでしょうか。

最後に、「親にとっての一番の願いは?」と聞くと殆どの方が「子どもが健康で元気であること」と答えます。子どものために色々と悩み、親が思ったようにならなくても、子どもが健康で元気にいてくれるという願いが叶っていれば少しおおらかな気持ちでいられるかもしれません。是非とも頑張ってくださいね。応援しています。
(谷井一夫)

「当てにしないことも大切」 '19.3 

こんにちは、Fさん。長年に渡る夫に纏わる苦労、そして母親の無理解など、これらはFさんを時に絶望の淵に追い込み、大きな苦しみを与えたのではないかと察します。心の中は消化されない蟠りでまだまだ覆われているのだと思います。確かに、このような状態に対して、抗うつ剤などの内服はある程度奏功するかもしれませんが、これは根本的解決ではありません。何故ならFさんの問題の本質は、「今後どうやって生きていくか」という生き方を巡る悩みだからです。

そんな中、旦那さんと別居されたことは、Fさんが一歩を歩み始めた証でもあります。このことは、夫の様々な行動に耐えられなかったというFさんが、自分の思いを生かした体験に他なりません。もしかすると、Fさんは今まで家族の思いを優先するあまり、自分の思いを押し込めてきたのでしょう。このような努力は、一見すると家族に表面的な安定をもたらしたかもしれませんが、結果的にFさんに欲求不満という代償を作り出してきたのだと思います。

一般的に、このような我慢が続くと、人は皆、その苦しさの余り、辛い気持ちを察してほしいという思いを募らせます。しかし、得てして周囲はその思いをくみ取ることなく時が過ぎてしまうものです。その結果、周囲が状況をくみ取ってくれないことに、多くの方が無力感を募らせていくことになります。

さらに、このような状態が持続することで、誰しも周囲の無理解に対して恨みがましくなっていきます。勿論、このこともまた人として自然なことであり責められるべきものではありません。けれども、一方で周囲に自分の苦しみを理解してもらおうと過度に期待しないことも大切です。親であっても、所詮他人であり最終的には分かち合えないのです。むしろ、この大前提にたって、Fさんは自身の人生を再び歩み始める覚悟が必要です。

このような転換はFさんに「果たして自分でやっていけるか」という不安を与えるため、当初は中々一歩を踏み出せないかもしれません。ただその場合、「何となく〜したい」という感覚を一つの拠り所にしながら、一歩を踏み出す契機にしていただければと思います。そして、考えるだけでは、人は必ず誰かしら責め続け自分の手で不幸にしてしまうものです。どんな小さなことであっても、体験の積み重ねが人の心を豊かにさせてくれることを心がけながら進んでいただければと思います。

今はまだ苦しみの渦中でしょうが、Fさんの今後の発展を祈念しております。
(樋之口潤一郎)

「異なる文化の中での生活と森田療法」 '19.2 

Jさんは、日本で働いている外国人の方で5,6年前から3度の休職をはさみながらなんとか働いてきたことを書き込まれています。

海外の方にも森田療法に関心を持っていただけることを嬉しく思うとともに、不安が人が生きる上で自然なものであること、そして不安の裏に「よりよく生きたい」という望みがあることは、普遍的なことなのだと改めて感じました。

さて、異なる文化の中で生活する上で生じるストレスを「異文化ストレス」といいます。
「異文化ストレス」には、
・異なる文化、異なる言語の中での葛藤や混乱
・異なる習慣や生活様式からくる不適応
・対人コミュニケーションにおける葛藤
・コミュニケーション不足による職場でのトラブル
・経済的な悩み
・家族に関する悩み
などがあると言われています。また、働く人の場合は、対人関係や生活の範囲が日本人よりも狭くなりがちであり、職場以外のコミュニティが少なくなりがちなため、職場の占める意味あいが大きくなり、職場がメンタルヘルスに与える影響が大きくなることも言われています。

Jさんも、生活の中で仕事の占める割合がとても高かったのではないでしょうか。 Jさんは「今思えばいい人と思われたい、仕事がそこそこできる外国人でありたい気持ちが強く、仕事を断れない、その仕事を一人で悩み人との関係がうまくいかなかったこと」なども振り返っておられます。とても大切な気づきですね。

いい人と思われたい、認められたいというのは、外国で仕事をする上で大切なエネルギーとなっていたことでしょう。けれどもそれが「いい人と思われなければならない」という「かくあるべし」になってしまうと、仕事を断れなくなってしまったり、悩みを抱え込んでしまい、苦しい状況になってしまいますね。なかなか助けを求められない、苦しい追い詰められたお気持ちだったことと拝察します。

異文化の中では、相手の振る舞いにも敏感になり、「ネガティブな意味があるのでは」と感じ取ってしまい、ますます敏感になる、という悪循環も起こります。 まずは、ご自身の苦しみの裏に「良い自分でありたい」という願いがあるということを認めてみてください。そして、「かくあるべし」をゆるめて、仕事で困っていること、つらいと思っていることを、誰かに話してみましょう。すぐに解決がみつからなくても、悩みを共有してもらうことで、がんじがらめの状況が緩むことがあります。

そして仕事以外の何かを持つことも、生活の中で仕事に強く焦点が当たっていることを緩めるのに、役に立つことでしょう。(うつの具合が悪い時には新しいことは控えた方がいい場合もあるので、主治医の先生とも活動の仕方はよくご相談ください)大きなことでなくても、例えばご家族と出かけてみるなどでもいいかもしれません。 相談できる場や話ができる場所がいろいろあるといいですね。 治療を受けられているようであれば、主治医の先生や病院のスタッフにもよくご相談されてください。
(塩路理恵子)

「うつの状態に応じた対応」 '19.1 

K様うつで苦しんでおられますね。ご自身のご経験と重なるかもしれませんがうつの状態に応じた森田療法を活かした対応を述べますね。

うつ病の米国DSM5診断基準を照らすと、(1)抑うつ気分(憂鬱な気持ち)、または(2)興味または喜びの喪失のうち少なくとも一つは存在し、(3)体重の変化、(4)ほとんど毎日の不眠か過眠、(5)ほとんど毎日のいらいらまたは行動の抑制がかかる、(6)ほとんど毎日の疲労感、(7)集中力の低下、(8)死にたい気持ち、のうち5つが同じ二週間に存在していることが基準になっています。これを満たすようであれば、うつ状態からくる否定的な思考があるのではないかと思います。これを満たすようであればきちんと抗うつ薬を使用し無理をしない方が良いでしょう。

回復の過程は個人差がありますが、以上の症状が少しずつ階段を上がるように回復していきます。我々は患者さんに「今どのくらいの回復度合いですか」と訪ね、%で表現してもらうようにしています。症状がでそろっているいわゆる「極期の過ごし方」は、「果報は寝て待て」が大事になります。簡単に言うと家でごろごろしていて良いわけです。30%前後から50%くらい、「回復前期」の時は、「毎日の中での変動が目立つ」のですが「どん底を過ぎれば必ず回復が訪れる」と思っていて下さい。

この時期は「疲労感」を主な基準として、疲労感が強い時は休息し、軽い時は手をつけやすいところから手をつけていきましょう。これが「臨機応変」という対応です。また「感じから出発する」のが大事です。何かしたい気持ちがあればそれを少しずつ行動に移して疲れたらまた休んで良い訳です。本来の状態の60〜70%くらいまで回復してきたら、生活リズムを規則正しくして生活を整えて行く、「外相を整える」ことが大事になってきます。また、今までの自分の生き方を見直す時期でもあります。「かくあるべし」といった思考にとらわれず現状の中で出来ることをしていくことが大事になります。

このようにうつの状態、%に応じた養生をしていって頂けると幸いです。
(舘野歩)

SEMINAR

Copyright (C) 2009 The Mental Health Okamoto Memorial Foundation