Oさんは、頓服薬を飲むか飲まないかということで悩まれているようです。頓服薬を飲むと楽になるという感覚もあるようですが、根本的な解決にならないと考え飲まないようにすることもあり、そのような日はとても苦しいと感じるようです。
薬を飲むか飲まないかという考えに立つと、どうしても不安の有る無しを観察する目が鋭くなりますから、結果として不安を敏感に感じ取り、不安を高めるといったことになりそうです。これは森田療法でいう悪循環でもあり、二者択一の落とし穴とも言えそうです。でも実際は第三の選択肢もあっていいのですよね。
アドバイスの中に「杖がなくてどこにも行けないより、杖があればどこへでも行ける」という例えがあり、Oさん自身も心に響いたとのこと、本当にその通りだなと私も腑に落ちました。森田療法では、不安や症状があるかないかではなく、それらがあったとしても必要な行動ややりたいことが出来るということを大事にしていますから、薬は日常生活を送りやすくするための補助輪のようなものかもしれません。補助輪があるかないかではなく、自転車に乗れればちょっと遠くまで行ける、買い物が少し楽になるといった生活の広がりが生まれます。あるいは風を切って走ることが気持ちよいといった豊かな感情体験を育みます。0か100の二者択一ではなく、日常生活を広げていくことを大切に第三の選択肢を探っていくことが落とし穴から抜け出す糸口になるかもしれませんね。
そしてOさんはこれから復職を考えていらっしゃるとのこと。色々とつらい状況も経験されてきたようですが、ここまで本当に頑張ってこられたのですよね。環境変化への不安や緊張もあると書かれていますが、それはとても自然なことのように思いますよ。私たちは環境の変化に直面すると、ああかな?こうかな?と揺れるものですよね。その時にも、薬は揺れを支える杖であり、先に進むための補助輪になってくれるかもしれません。杖や補助輪があっても踏み出すその一歩から得られる実感をしっかり味わっていきたいですね。応援しております。
(渡辺志保)