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症状別アドバイス集

不安神経症の部屋

「離脱症状について」 '19.3 

こんにちは、Mさん。現在、Mさんは新たな転院先を考え、治療に奮闘されているように思います。その際、転院先で取り扱われていないジプレキサの断薬を巡って、戸惑われていると感じています。

離脱症状とは、一般に向精神薬によって均衡が保たれていた脳内の神経伝達物質や自律神経などが断薬により崩れ、様々な自律神経症状、緊張、そして不安などを呈した場合を指します。断薬後、数日から離脱症状は出現し、数週間で収まると言われますが、長い場合は数年に及ぶこともあります。向精神薬の離脱症状で一番問題になる薬物は、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬などですが、抗うつ剤や抗精神病薬についても離脱症状の報告がしばしば認められます。個人的な臨床経験にはなりますが、ジプレキサの場合も抗不安薬ほどではありませんが、断薬後、睡眠の質や食欲の減退、そして多少の苛立ちなどが認められます。

離脱症状に対する治療的な対応については、まだ一定の見解が得られていません。しかし、私自身は二つの方向から善処するように心がけています。一つは、急な断薬ではなく、数週から数カ月(時に数年)をかけて段階的に減薬することで、離脱症状を最小限に収めるようにします。我々は、環境の変化然り体内環境然り、急な変化によって心身の不調をきたすものです。そういう観点から、段階的な減薬は心身の変調を最小限に収める治療的配慮と言えるでしょう。

もう一つは、日頃から体調に気を払い、体力を落とさないように心がけることです。何故なら、自律神経は脳内の神経伝達物質だけでなく、体力によっても大きく影響をうけるからです。そのため、日頃から体を動かし筋肉量を落とさないこと、そして循環を良くするように体を安易に冷やさないこと、そして第二の脳である胃腸(特に小腸)を冷やさないことが重要です。

森田先生は当時患者さんに、作業を通じて体を応用に動かすことを指示しました。当時は神経症のとらわれを打破するための治療方略でしたが、これは何も神経症の治療だけでなく、離脱症状からの回復での上でも重要です。内服を離れるという作業は、身体には緊張を、心理的には心細さという不安を喚起させることに他なりません。そのため、離脱症状によって生じた心身の反応を自然なものと捉え直し、その症状を排除するのではなく、症状を抱えるだけの身体機能を高める取り組みへと転換する働きかけが重要となるのです。今はまだ不安で一杯でしょうが、Mさんにとって少しでもよい生活が待っていることを願っています。
(樋之口潤一郎)

「家族についての悩みと不安」 '19.2 

Pさんは、息子さんが就職に失敗し無職の状態が続いており「死にたい」などの言葉もあって、更年期うつが一旦はよくなっていたものが、不安感・不眠・食欲減退が強くなっていると書き込まれています。

息子さんのこと、ご心配ですね。特に「死にたい」という言葉は、お母さんとしてとてもつらい言葉だと思います。 今は、不安でつらい、というのが無理もないことだと思います。不安に思う事で自分を責めることは止めましょう。 「息子を精神科に受診させることしかできない」と書かれていますが、息子さんの受診のサポートはとても大切なサポートだと思います。

大切な家族のことだからこそ、自分のこと以上に「不安をそのままにおく」ことが難しく、またそうすることに罪悪感をもってしまうこともあるでしょう。 けれども、息子さんのことだけに注意を向けすぎてしまうと、息子さんもそれを感じてますます敏感になる、という悪循環も起こります。恐らく息子さんも家にいて、二人だけで家にいる時間も長いのではないでしょうか。長い時間でなくても良いので、外に出る時間も作れるといいですね。人と会うことがきついときは、公園などで少しの間座っているだけでもよいでしょう。少しずつ、緑や花などが目に入ってくるといいですね。

不安に思うことを一人で抱え込む状況を作らないことも大切です。誰にでも話せることではないと思いますが、信頼できる身近な人(家族、友人など)に話す、ご自身の主治医や息子さんの病院、カウンセリングなどで話していきましょう。 不眠や食欲不振も強いとのこと、主治医の先生ともよく相談されてください。
(塩路理恵子)

「抗不安薬の依存について」 '19.1 

M様、抗不安薬の依存について不安ですよね。私たち精神科専門医が専門的な診立てをして処方をしていても受け取る患者様には常に不安が付きまといますよね。

そこでまず抗不安薬(ベンゾジアゼピン系、以下BZ)の退薬症候の特徴を記載しますね。BZ長期使用後の退薬時の症状は、再燃、反跳現象、退薬症候の3つに大別されます。再燃とは、ゆっくりと治療前の状態に戻る事を指し、原疾患が治癒していないことを意味します。反跳現象とはBZにより抑えられていた症状がより強く現れるもの、不安、焦躁、不眠などが有意に出現することを言います。退薬症候は離脱と同じことで、BZ中止により今までの症状に加えてそれまでなかった症状も出現することです。このように患者さんからすると元々の不安障害の症状か薬をやめた離脱かわからずよけい不安になると思います。

一般的なBZを減らす方法を示します。BZ治療終了の際は、まず緩徐な漸減が推奨されている。一般的には1か2週ごとに1日量の1/4から1/2ずつ減量し、4から8週かけて漸減、中止していきます。さらに長く16週かけてという意見もあります。専門用語で恐縮ですが、半減期の短い短時間作用型のBZ(簡単に言うとさっと効果が出てさっと抜けていく感じです)を投与していた場合は、退薬症状が出やすいため、一旦半減期の長い長時間作用型のBZ(簡単にいうとじわじわと効いてきて抜けるのもやや時間がかかる)に置換してから漸減することも推奨されています。あとはBZ以外の薬剤、選択的セロトニン取り込み阻害薬(SSRI)への置き換えです。

今書いたことは精神科の専門書にあったものです。また、減量についてはやはり主治医と相談して行うことが重要です。オープンに主治医に話してみて相談に乗ってくれる先生なら良いでしょうし、もし怒るような先生なら他の医師を訪れた方が良いかもしれません。ところが上記の対応だけでは、「また症状が起こるのではないか」と思ったりするでしょう。

仮に主治医と相談して減薬を試みても元来の不安障害の症状か退薬症状が出たりしますのでそこを乗り越えていくことが重要になります。M様は長年のんでいらっしゃるので、減薬したときはおそらく元々のご病気の症状よりも薬をやめた(退薬)症状が出てくる可能性がありますね。程度によりますが以上のような退薬症状が当初出るものと思っていると良いかもしれませんね。減薬の際、退薬症状が出るか出ないかに目が向きすぎると余計症状が出る可能性がありますので、減薬時も日々の生活実践を大切にしていって下さいね。
(舘野歩)

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