神経症の発症にはある程度、遺伝的な影響もありますが、より重要なのは性格的要因です。これは森田療法を創始した森田正馬が提唱した性格的要因です。
第一に内向的で自己内省的、第二に小心、敏感、心配性、小さな事にくよくよしやすい、第三に完全主義、理想主義、負けず嫌いなどの特徴があります。
つまり、弱気な要素と強気な要素をあわせ持った性格であるため、強気な自分が弱気な自分を許せず、心の葛藤を引き起こしやすいタイプといえるでしょう。
また欧米でよく知られている神経症傾向としては、何か困難なことがあった時に敏感に反応する傾向で、自分の感情をコントロールできない、ストレスへの対処が下手だとする特徴があります。
その他、不安に陥りやすいこと、怒りやイライラ、抑うつ的などを経験しやすい事も挙げられます。あるいは恥ずかしい、ひやかしに敏感で、劣等感をもちやすい。衝動的で、欲求が強く、怒りをコントロールしにくい傾向があるといわれています。
神経症には様々なタイプや症状がありますが、共通しているのが「不安」という感情です。そのため、不安は神経症の基底感情といわれる事があります。この基底感情である不安と、その人の不安に対する不適切な対処とがあいまって、さらに不安がつのり、様々な症状が固定化したのが神経症です。
また神経症の症状は、普通、健常者が体験するような現象と質的な隔たりはありませんが、その強さや持続時間が際立っています。
例えば不潔恐怖の人なら、何時間も手を洗うとか、確認恐怖であれば、何度も鍵をかけたか確認する等、日常生活に大きな支障をきたしている場合、神経症の障害であると考えられます。